米国、畜産経営体に対する水質保全対策を発表


 

米環境保護庁、水質保全対策を発表

米環境保護庁(EPA)は3 月 5 日、畜産経営体に起因する環境および公衆衛生問
題を解決するための水質保全対策の草案を発表した。これが実行に移されれば、
畜産経営体に対する環境規制はさらに強化されることになる。

 今回、EPAにより発表された水質保全対策は、クリントン大統領およびゴア副大
統領が2月に公表した水質保全(Clean Water)アクションプランの下で実施さ
れるはじめての重要な対策である。


大規模畜産経営体に対する規制を強化

 EPAによれば、農業、中でも畜産経営体(AFO:放牧経営以外の畜産経営体)か
ら流れ出る汚水は、河川などの富栄養化や、飲用水の水源に汚染をもたらすとし
ている。また、米会計検査院の報告(92年センサスに基づく94年の推計値)によ
れば、米国には64万戸の家畜を有する経営体があり、このうち45万戸がAFOの定義
に当てはまる畜産経営体であるとしている。さらに、このうち、約6,600戸が大規
模畜産経営体(CAFO:1,000家畜単位以上(「畜産の情報」海外編98年 4 月号 3
ページ参照))の定義に当てはまる。

 しかし、このような大規模畜産経営体のうち、河川などへの汚水流出を抑制す
るための水質保全法に基づく許可を得ているのは、25%以下に過ぎない。このた
め、今回の対策では、政府、畜産業界、環境関連団体等との連携により、自主的、
技術的および財政的支援に加え、利用可能なあらゆる規則および強制措置を取り
まとめることとしている。


水質保全対策の具体的内容

 具体的には、次のような手段により、汚染から河川、湖および沿岸の水を守る
としている。

@EPAおよび米農務省(USDA)によるリーダーシップの下、98年11月までに、フィ
 ードロット型経営体(注:肉用牛経営とは限らない。)による汚染を抑制する
 ため、統一された全国戦略を構築する。

A環境問題の生じている施設や規模の大きな畜産経営体を検査し、 3 〜 5 年以
 内に既存の規則への適合性およびその執行を改善する。

B畜産経営体から流れ出る汚水の許容可能な水質に関して、養鶏および養豚経営
 体については2001年12月までに、肉用牛および酪農経営体については2002年ま
 でに、それぞれ新しい全国基準を設ける。

CCAFOについては2002年までに、その他の規模のやや大きい畜産経営体などにつ
 いては2005年までに、それぞれ流去水による汚染を制限するための許可証を発
 行する。



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