世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○米国トウモロコシ在庫が大幅に増加


前年同月比48%増

 米農務省(USDA)は、先頃9月1日現在のトウモロコシ在庫量を発表した。こ
れによれば、在庫量は、前回9月の需給予測発表時の数量が消費増の見込みから、
約230万トン下方修正されたものの、前年同月比では48%増の3,322万トンで、極
めて低水準の在庫量であった一昨年同月と比較すると 3 倍強の水準に達した。

 なお、その数量は、過去10年間の平均(約3,310万トン)と比べると、これをや
や上回る水準であり、過去20年間の平均(約5,088万トン)と比べると、80年代の
過剰在庫の時期を含むため、この 6 割強の水準にとどまっている。

◇図:トウモロコシ在庫量の推移( 9 月 1 日現在)◇


供給増が主な原因

 在庫量増加の主な理由は、供給量の増大である。97/98年度(9月〜8月)の
期首在庫は、前年同月比107%増の約 20千 2 百万トン、生産量は前年度比 1 %
増の約 2 億3千 8 百万トンで、輸入量は若干減少したものの、供給量全体では
 5 %(約 1 千 3 百万トン)の増加となった。

 一方、同年度は消費についても、飼料用および食料・工業用などが好調であっ
たため、前年度を1%上回ったものの、全体として供給の伸びを量的に上回る水
準には至らなかった。


アジアへの輸出が減少

 消費のうち、輸出については、アジアにおける経済危機、アルゼンチンなどの
他の輸出国との競合、ドル高基調の為替相場、価格的に有利な小麦へのシフトな
どにより、前年度を16%下回り、在庫の増加要因の一つとなった。97年9月から
98年6月における主要仕向先別の数量では、日本、台湾および韓国向けがそれぞ
れ前年同期比2%、29%、45%の減少となった。なお、メキシコ向けは22%増で、
シェアも前年同期の7%から日本(約 40割)に次ぐ11%へと拡大している。


98/99年度の生産量を上方修正

 USDAは、10月9日に発表した需給予測において、98/99年度の生産量を前月の
予測値から約13万トン上方修正して、前年度比 4 %増の約 2 億 4 千 7 百万ト
ンとした。これは、主要生産地での成育状況が順調であることを反映したもので、
同省の発表した10月4日現在の作柄動向*でも、トウモロコシが成熟期に達した
割合が全体の95%と、豊作であった昨年同日の79%、93−97年平均の80%をかな
り上回っている。

 トウモロコシ価格(シカゴ相場の先物、期近価格の終値)は、8月31日に1ド
ル87セントまで下落した後に値を戻したものの、依然2ドル10セントを挟む程度
の値動きとなっている。こうした価格の低迷は、生産増の見込みからも、さらに
しばらくの間続くであろう。


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