米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○脱脂粉乳のCCC月末の未処分在庫、29ヵ月ぶりに発生



減少に転じた脱脂粉乳の消費

 脱脂粉乳の 1 人当たりの年間消費量は、80年代に1.0kgに落ち込んだが、90年
代に入り増加傾向に転じ、96年には、1.7kgと70年代後半の水準に回復した。しか
し、翌97年には前年比10.5%減の1.5kgと再び減少に転じ、その後も同様の傾向で
推移しているとみられている。脱脂粉乳は、主に乳製品製造原料やパンなどの食
品製造に用いられ、健康志向の高まりから脂肪分を含まない食品が好まれてきた
こともあって、脂肪分を除いた際の食品の「おいしさ」を維持するために活用さ
れていた。しかし、近年、行き過ぎた低脂肪志向への反動から脂肪分を含んだ食
品への回帰が見られ、このことが脱脂粉乳の消費量低下をもたらした要因の1つ
となっている。

◇図:脱脂粉乳の生産量、消費量、 1 人当たりの消費量の推移◇


生産は減少しているものの、民間在庫量は高水準で推移

 脱脂粉乳の生産についてみると、生乳生産の伸び悩みの影響などから、98年1
〜80月までの生産量の累計は、前年同期比6.6%減の37万 3 千トンになった。し
かし、消費の低迷を受けて、民間在庫量は比較的高い水準を保っており、5月末
には6万トンに達している。このような状況の中で、脱脂粉乳の価格(西部地区
のFOB価格)も低迷しており、バター高騰の影響で加工原料乳価格が大幅に上昇し
た98年 9 月を除き、97年 5 月以降、前年水準を下回って推移している。

◇図:脱脂粉乳の民間在庫量◇


CCCの脱脂粉乳買上数量が増加

 商品金融公社(CCC)は、加工原料乳価格支持制度の下で、支持価格を基に加工
経費等を考慮して算出された買上価格により、乳業者からの申請に基づき、数量
制限なしに乳製品の買上げを行っている。なお、96年農業法により、支持価格の
段階的引き下げ(毎年15セント/百ポンド)と99年12月末の同制度の廃止が定め
られている。

 脱脂粉乳の価格がCCCの買上価格近くまで下落し低迷している状況の中で、西部
地区のプラントを中心に CCCへの脱脂粉乳の売渡し数量が大幅に増加した。この
結果、98会計年度(97年10月〜98年 9 月)のCCCの脱脂粉乳買上数量は、前年度
の3.8倍の 5 万 5 千トンに達し、 9 月末には29ヵ月ぶりに約 1 万 9 千トンの
未処分在庫(月末時点)が発生している。

◇図:CCCの脱脂粉乳買上数量◇


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