◇絵でみる需給動向◇
脱脂粉乳の 1 人当たりの年間消費量は、80年代に1.0kgに落ち込んだが、90年 代に入り増加傾向に転じ、96年には、1.7kgと70年代後半の水準に回復した。しか し、翌97年には前年比10.5%減の1.5kgと再び減少に転じ、その後も同様の傾向で 推移しているとみられている。脱脂粉乳は、主に乳製品製造原料やパンなどの食 品製造に用いられ、健康志向の高まりから脂肪分を含まない食品が好まれてきた こともあって、脂肪分を除いた際の食品の「おいしさ」を維持するために活用さ れていた。しかし、近年、行き過ぎた低脂肪志向への反動から脂肪分を含んだ食 品への回帰が見られ、このことが脱脂粉乳の消費量低下をもたらした要因の1つ となっている。 ◇図:脱脂粉乳の生産量、消費量、 1 人当たりの消費量の推移◇
脱脂粉乳の生産についてみると、生乳生産の伸び悩みの影響などから、98年1 〜80月までの生産量の累計は、前年同期比6.6%減の37万 3 千トンになった。し かし、消費の低迷を受けて、民間在庫量は比較的高い水準を保っており、5月末 には6万トンに達している。このような状況の中で、脱脂粉乳の価格(西部地区 のFOB価格)も低迷しており、バター高騰の影響で加工原料乳価格が大幅に上昇し た98年 9 月を除き、97年 5 月以降、前年水準を下回って推移している。 ◇図:脱脂粉乳の民間在庫量◇
商品金融公社(CCC)は、加工原料乳価格支持制度の下で、支持価格を基に加工 経費等を考慮して算出された買上価格により、乳業者からの申請に基づき、数量 制限なしに乳製品の買上げを行っている。なお、96年農業法により、支持価格の 段階的引き下げ(毎年15セント/百ポンド)と99年12月末の同制度の廃止が定め られている。 脱脂粉乳の価格がCCCの買上価格近くまで下落し低迷している状況の中で、西部 地区のプラントを中心に CCCへの脱脂粉乳の売渡し数量が大幅に増加した。この 結果、98会計年度(97年10月〜98年 9 月)のCCCの脱脂粉乳買上数量は、前年度 の3.8倍の 5 万 5 千トンに達し、 9 月末には29ヵ月ぶりに約 1 万 9 千トンの 未処分在庫(月末時点)が発生している。 ◇図:CCCの脱脂粉乳買上数量◇
元のページに戻る