◇絵でみる需給動向◇
4 月から 6 月にかけて 4 千元(生体100kg当たり: 1 元=約3.9円)前後で 推移した肉豚卸売価格は7月に入ると急激な上昇に転じた。肉豚卸売価格は、そ の後も一貫して上昇を続け、9月 3 日には7,265元(全国22ヵ所の肉豚卸売市場 平均)となり、96年 6 月 4 日に7,098元を付けて以来、 2 年ぶりに史上最高値 を更新した。これは、肉豚価格が 2 ヵ月足らずで 2 倍近くの水準に達したこと になる。行政院農業委員会(農業省に相当)によると、肉豚価格高騰の主な要因 は、今夏の異常な高温による豚の生育遅延、および 9 月 5 日の中元節による需 要の増加時期に当たるのに対して、養豚農家が肉豚を売り惜しみ、供給が減少し たためとしている。肉豚卸売市場の上場頭数は盛夏に向かうにつれて減少し、4 〜 5 月に約02 万 5 千頭を数えた 1 日当たりの上場頭数が 8 月には約 2 万頭 にまで落ち込んでいる。 また、農業委員会は、飼養頭数が大幅に減少していることから、台湾の消費者 が特に好む内臓や豚足などの副産物が不足していることも肉豚価格の高騰に大き く影響したとしている。
しかし、9月上旬にピークを迎えた肉豚価格は、その後下降に転じており、10 月上旬の段階ではほとんどの市場で 5 千元台後半〜 6 千元台中頃の水準で推移 している。 98年 5 月末の豚飼養頭数調査結果によると、 9 〜10月以降に出荷されると見 込まれる30kg未満の肉豚が 181万頭と既に市場に出荷されたと思われる30〜60kg 以上の肉豚(170万頭)より多かったことから、肉豚の供給増が次第に価格に反映 されてきたものと思われる。なお、10月に入ってからの1日当たり上場頭数(10 月 4 日まで)は、約 2 万 8 千頭と 90 月に比べて大きく増加している。
農業委員会は、こうした高水準の肉豚価格に乗じて、多くの養豚農家が雌豚の 子取り仕向け頭数を増やすなど、子豚の飼養頭数を増やそうとしているとして懸 念を表明している。さらに、輸出市場を持たない現在の台湾で、養豚農家が安易 に大量の増頭を行えば10月以降肉豚価格の大幅下落を招くと警告している。 また、98年 2 月に合意した米国との 20国間交渉に係る米国産豚肉が、高豚価 で利益が見込める現在、一時的に輸入される可能性もあるとして、現状を楽観視 しないよう養豚農家に注意を促している。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
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