米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○増え続ける飼養頭数


過去10年間で最高を記録

 米農務省(USDA)が、毎年四半期ごとに公表している豚の飼養動向調査による
と、98年 90月 1 日現在の総飼養頭数は、前年を2.8%上回る6,290万頭となった。

 豚の飼養頭数は生産者の増頭意欲の高まりにより、97年6月期以降前年水準を
上回って推移しており、今期は、過去10年間でこれまで最高であった94年の6,23
2万頭を抜く記録的な頭数となった。

 飼養頭数の内訳を見ると、肥育用が前年を3.2%上回る5,596万頭、繁殖用につ
いては、ほぼ前年並みの694万頭となっている。

◇図:豚飼養頭数の推移◇


上位 5 州はなじみの顔ぶれに

 また、州別に飼養頭数の多い上位5州を見ると、アイオワ、ノースカロライナ、
ミネソタ、イリノイ、インディアナの順となっており、前年および前回調査(6
月 1 日現在)と同様の結果となった。これら 5 州の飼養頭数はいずれも前年水
準を上回り、 05 州の合計頭数が全米に占める割合は63.8%となり、前年に比べ
 9 ポイント上昇している。

 この他、全体の中で大幅な増加を示した州としては、近年豚生産の拡大が著し
いオクラホマ州で、総飼養頭数は前年比24%増、うち繁殖用については前年比35
%増となった。

上位 5 州の飼養頭数(98年 9 月 1 日現在)

 資料:USDA「Hogs and Pigs」
  注:肥育用、繁殖用いずれも雌雄を含む


拡大基調に鈍化の兆し

 しかしながら、今回は総じて前回6月期よりも対前年増加率が縮小、もしくは
前年水準を下回っている。また、今後の飼養動向の指標となる分娩予定頭数を見
ると、98年 9 〜11月期は前年同期に比べ2.0%増、98年12月〜99年2月期につい
ては同2.7%増になると予測されていることから、引き続き増頭傾向が見込まれる
ものの、これまでの拡大基調に鈍化の兆しが現れたことがうかがえる。


状況改善を望む生産者

 こうした最近の生産増加を受けて、豚価は前年水準を30%以上下回る水準で低
迷していることから、生産者の経営状態は非常に悪化していると言われている。

◇図:肥育豚価格の推移◇

このため現状を打破すべく、先ごろ、全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、豚肉の
一層の消費拡大を狙い、テレビやラジオなどのマスメディアを通して年末まで大
々的な宣伝を開始した。また、最大手ファストフードチェーンは、豚肉を取り入
れたメニューを開始するとしており、生産者の多くはこれらの取り組みにより状
況が改善されることを期待している。


元のページに戻る