動物愛護面からみたと畜処理基準などの遵守状況を報告(イギリス)


基準はおおむね遵守

 EUでは、動物愛護面から家畜・家きんのと畜・と鳥処理のそれぞれの工程に基
準が定められている。昨年末、イギリスの食肉衛生検査所は、管内の食肉および
食鳥処理場554カ所で、その実施状況を調査した。今般取りまとめられた結果によ
ると、基準はおおむね良好に遵守されているが、103件の改善勧告もなされている。


と畜場411カ所の調査の結果、72件の改善勧告

 調査対象は食肉処理場(以下「と畜場」とする)411カ所、食鳥処理場143カ所
で、調査の結果、と畜場については72件、食鳥処理場については31件の改善勧告
がなされた。また、基準には抵触しないものの、それぞれ252件、90件、合計342
件の改善指導が行われた。調査結果のうち、と畜場については次のとおりとなっ
ている。


1 輸送−良好

 輸送については、清潔な車両で行うことなどが定められている。特にイギリス
では、生産農場からと畜場まで家畜を清潔に保つ指導が行われている。調査では、 
2件で改善が勧告されただけで、良好な結果となっている。また、家畜が回転で
きる空間を与えることも指導されているが、この点については3件を除き良好な
結果となっている。


2 けい留−けい留場の管理はお おむね良好

 けい留場では、12時間を超えてけい留される場合は給餌を行うこと、必要であ
れば敷料を与えること、健康検査を行うために十分な照度が得られることなどが
定められている。調査では、けい留場の管理はおおむね良好としながらも、給餌
や敷料の不十分な例が見られたとしている。ただし、スノコ畜舎で飼育された豚
にとっては、敷料は逆にストレスの原因になりかねないとも指摘している。また、
60%のと畜場に照明の改善の余地が指摘されている。けい留場の構造面では、72
%のと畜場で、電気ショックを使用せずに家畜を移動できるよう整備されている
としている。なお、電気ショックを用いていると畜場のうち、刺激個所の間違い
や前方がふさがっているのに電気ショックを使用するなどの不適切な使用方法が
見られた例は 2 %に過ぎなかったとしている。


3 スタンニング(気絶させる方 法)−適正実施も、器具の検 査・管理記録不十分

 スタンニングは、ピストル(弾棒)、打額、電撃、二酸化炭素で行うことと規
定されている。牛のと畜場335カ所のうち、258カ所でピストルに続きピッシング
(家畜の脳、せき髄を破壊する行為)を行い、91カ所がピストルだけを使用して
いる(両者を併用すると畜場がある)。その他の方法を用いると畜場は  3 %程
度であった。豚のと畜場では40カ所のうちピストルだけが35カ所、ピストルに続
きピッシングを行っているのは1カ所、電撃が3カ所となっており、残りの1カ
所はスタンニング無しで銃殺が行われている。調査の結果、いずれの方法も適正
に行われていると報告されている。ただし、電撃については、電圧、電流および
作動時間の表示のない器具が見られたとし、また、調査対象全場の75%で器具の
検査・管理記録が不十分であったと指摘している。


4 職員研修−未実施のと畜場多い

 と畜場の職員は職務に必要な知識や技能を有することと定められている。しか
しながら、調査の結果では、30%のと畜場で動物愛護についての研修がほとんど
あるいは全く行われていないと指摘している。また、40%のと畜場で、動物愛護
指針が定められていないと指摘している。


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