上半期の食肉生産は好調も、価格は低迷(中国)


98年上半期の食肉生産量は 6 %増

 農業部(農業省に相当)の発表によると、四川、湖南、湖北など15省の調査で、
今年上半期の食肉生産量は昨年同期と比較して 6 %増加する模様である。

 調査報告では食肉生産量の実数は明確にされていないものの、豚、牛および羊
の出荷量が前年同期比でそれぞれ4.8%、7.6%および7.8%増加すると見込まれて
おり、近年のおう盛な需要増を反映して引き続き強い増産意欲が表れている。ま
た、卵の生産量も同様に同5.9%増加するとしている。

 一方、高まる国内需要と日本を中心とした輸出需要をけん引力に豚以上の伸び
を示してきた家きんの飼養羽数は、逆に同1.5%減少するとしており、これは国内
における急激な生産増による供給過多の反動や、日本で鳥インフルエンザなどに
対する懸念から中国産鶏肉が一部で敬遠されたことなどが影響しているものと思
われる。


畜産物価格は弱含み、飼料価格は上昇

 上半期における畜産物の価格動向をみると、98年6月の自由市場における子豚、
肉豚および豚肉の小売価格(全国指定地区の平均値、農業部調べ)は、最近の供
給過剰傾向を反映してそれぞれ前年同月比42.4%安、27.3%安、および23.6%安
と大幅に値下がりしている。また、牛肉、羊肉および鶏肉についても同7.8%安、
4.0%安および8.7%安と同様に値を下げた。

 一方、トウモロコシおよび豚用配合飼料については、昨年のトウモロコシ不作
の影響を受けて同22.7%高および5.1%高と逆に上昇していることから、畜産経営
を取り巻く環境はますます厳しいものとなっている。

食肉および飼料の小売価格の推移

 資料:中国農業部


長引く養豚経営不振を懸念

 今年上半期には食肉の7割を占める豚肉の供給過剰が顕著化した。過剰に陥っ
た要因としては、近年の豊作によって食糧価格が下がり、農民が養豚に転換する
ことで収入増を図ったことや、中国の経済成長速度の鈍化から国内需要が伸び悩
んでいる上、アジア地域における経済危機の影響で輸出が伸び悩んでいることが
挙げられる。こうした状況を受けて、農業部は昨年8月には養豚への過剰投資を
警告したものの、その収益性の高さから生産に歯止めがかからなかったとみられ
る。

 なお、今年5月の主要生産地についての調査によると、養豚の収益性判断の目
安となる食糧と肉豚との価格比は基準となる 1 :5.5に対して 1 :4.5となり、
現在では養豚経営が苦境に立たされていることを物語っている。一部の地域では
 1 : 3 以下にまで養豚の収益性が落ち込んでいると伝えられており、いずれは
経営が立ち行かなくなる農家も多くなると思われ、今後の養豚産業への影響を危
ぶむ声も出始めている。


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