USDA、食肉の水分保持に関する規則案を発表(米国)


家きん肉も同様の扱いに

 米農務省(USDA)は9月、食肉および家きん肉の水分保持に関する規則案を公
表した。今回公表された規則案は、連邦食肉検査法、家きん肉製品検査法に基づ
き、と畜またはと鳥後の処理過程で食肉や家きん肉に保持される水分量を制限す
るもので、家きん肉に対しても食肉と同様の取り扱い規則を適用しようとするも
のとなっている。


異なる冷却方法

 食肉のうち枝肉の冷却処理は、枝肉の収縮を最小限にするとともに、温度を急
速に引き下げることを目的に、冷却水の散布が冷蔵室で行われ、冷却水の散布が、
枝肉重量の増加につながらないような手法が用いられてきた。

 一方、家きん肉に対しては、中抜きしたと体の温度をと鳥後8時間以内に華氏
40度(摂氏4.4度)以下に引き下げることが求められていることなどから、冷蔵室
を使用して冷却するよりも迅速で、かつ、低コストな冷却水に浸漬する方法が採
用されてきた。この結果、家きん肉が水分を吸収し重量が増加するという問題が
生じるものの、最も効果的に細菌の増殖を抑制し、内部温度を下げることから、
USDAは、これまで家きん肉の一定の水分保持を追認してきた。


食肉生産者などの提訴がきっかけに

 このような冷却方法の相違に対し、94年、食肉生産者および消費者グループは、
USDAを相手取り、「水分を吸収した家きん肉は、家きん肉製品検査法と照合する
と処理方法が法定基準外で、かつ、不当表示に当たる」として、アイオワ州の連
邦地方裁判所に提訴した。

 これを受けた同裁判所は、97年7月、家きん肉の水分保持は、法定基準に適応
しており不当表示にも該当しないとの判断を下した。しかし、規則策定記録には、
水分の保持水準がどのようにして設定され、なぜ現状水準以下に引き下げられな
いのか、また、なぜ食肉と家きん肉ではその基準が異なるのかについての説明が
ないと指摘があったため、USDAはその後の対応を検討していた。


保持率は原則として 0 %に制限

 提案された規則によれば、洗浄、冷却過程における水分の吸収・保持率は、単
一の生の食肉(挽き肉を含む)および家きん肉の場合、原則として0%に制限さ
れることになる。しかしながら、当該案は、冷凍七面鳥肉(丸どり)などのよう
に表示が完全である製品や調理済み製品には適用されない。さらに、USDAでは、
食品の安全性確保の観点からは保持率0%が望ましいものの、家きん肉などから
保持水分を完全に除去することは困難とみており、処理会社が0%を超える水分
保持基準を設定する場合は、正確なデータに基づいた上で設定し、なぜそれが避
けがたいのか実証するよう求めている。なお、表示規則に関しては、保持水分の
最大パーセンテージを記載することなどを要件としている。


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