◇絵でみる需給動向◇
ミート・アンド・ライブストック・オーストラリア(MLA)によると、98年の 牛肉輸出量(子牛肉を含む、船積み重量ベース)は、前年を6.8%上回る85万6千 トンとなり、これまでの最高であった92年の82万 3 千トンを抜き、記録を更新す ることとなった。 牛肉輸出は、92年をピークに他の牛肉輸出国との競争激化や需要の減退などか ら減少傾向にあったものの、主要市場である日本や米国の需要が回復したことな どから、97年からは一転して増加傾向となっている。 ◇図:牛肉輸出量の推移◇
MLAは、98年に輸出がかなり増加した要因として、まず、為替相場を挙げてい る。これは、豪ドルが米ドルや円に対し比較的安値で推移したことから、合わせ て牛肉輸出の約70%のシェアを占める日本や米国向けが増加したためとしている。 また、両国の需要に合致した経産牛などの潤沢な供給がなされたことも輸出増 の背景に挙げられる。
最大の輸出先である日本向けについては、98年は前年を3.0%上回り過去最高の 32万 1 千トンとなった。対日輸出の内訳を見ると、主力品目であるチルドは、前 年を2.1%下回る18万 5 千トンであったのに対し、フローズンは前年を10.8%上回 る13万 5 千トンとなっており、対日牛肉輸出全体に占めるシェアが前年の39.2% から42.2%へと拡大した。また、グラス、グレイン別では、それぞれ前年比2.5% 増の21万 4 千トン、同4.0%増の10万 7 千トンと両者ともに前年水準を上回った。 中でも、フローズン・グラスフェッドが、これまで最大の対日輸出品目であっ たチルド・グラスフェッドを抜き前年比10.9%増の11万 5 千トンとなったことが 特筆される。 MLAでは、日本においてはいまだに景気の回復が見られず、長引く不況下で、 消費がより安価な製品(割安感のある品物)へシフトしていることがフローズン・ グラスフェッドの需要増に大きく影響したとみている。 ◇図:対日牛肉輸出量の推移◇
他の主要な輸出先を見ると、日本に次ぐ第2の市場である米国向けについては、 国内のキャトルサイクルが減少局面にあり、牛肉供給が減少したことから、98年 の輸出量は前年を29.1%上回る28万 5 千トンと大きな伸びを示した。また、前年 は第5位の市場であったカナダ向けについても、前年を10.3%上回る3万9千トン となっており、3 位の輸出市場となった。 一方、前年日本、米国に次ぐ輸出先であった韓国向けは、前年を45.0%下回る 3 万 4 千トンに、また、ASEAN諸国向けは同47.6%下回る 3 万 4 千トンとなり、 経済不況の影響などからアジア向け輸出は日本を除き総じて不調であった。 ◇図:牛肉輸出量の推移◇
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