タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年後半にひな価格が高騰


過去 5 年間で最高水準

 タイ農業省が発表した、98年11月のブロイラーひな価格は、12.54バーツ/羽
(1バーツ=3.2円)で前年比42.5%高と大幅に上昇している。ブロイラーひなの
価格は、98年 4 月に急落し、 5 月には6.17バーツ/羽と96年12月の5.84バーツ/
羽以来の安値をつけた。しかし、 6 月以降の価格は急騰しており、8月には11月
とほぼ同水準の11.97バーツ/羽をつけ、その後も堅調に推移している。これは、
ブロイラー用ひなのふ化羽数の減少が大きな要因となっているものとみられてい
る。

 ブロイラー用ひなのふ化羽数は、農業省の統計によると、96年 6 月より好調な
輸出を背景として増加傾向で推移しており、98年 2 月には過去最高の 8 千 7 百
万羽(前年比25.9%増)まで増加した。しかし、 3 月以降は減少に転じ、10月ま
での 8 ヵ月連続で前月を下回る状況となっていた。11月は前月をやや上回ったも
のの、前年比6.0%減の 7 千 4 百万羽となっている。

◇図:ひなのふ化羽数と価格の推移◇


輸出競争力維持のため、米ドルベースの輸出価格は低水準に

 一方、現地での取引に使われている米ドルベースの輸出価格を見ると、輸出単
価が最も安かったのは、98年 4 月で1,833ドル/トンであったが、その後は上昇
傾向で推移し11月では1,992バーツ/トンとなっている。為替レートは、98年 1 
月に51.39バーツ/ドルと最安値をつけたものの、その後は順調に回復し堅調に
推移している。タイバーツの為替相場と比較すると、米ドルベースで見ても、輸
出価格は安価で推移している状況となっている。これは、中国、ブラジルなど他
の鶏肉輸出国の輸出価格が、 2 千ドル/トン以下の低水準で推移していることか
ら、輸出競争力を維持するため、価格を引き上げられないものとみられている。

 なお、日本向けの輸出単価は、輸出全体の平均単価とほぼ同様の動きを示して
いるが、安価な部位を多く含む中国や香港向けの輸出単価が、それぞれ 2 万 4 
千バーツ/トン、030万 7 千バーツ/トンと、日本の 7 万 3 千バーツ/トンの半
額以下となっていることから、輸出全体の平均単価を上回って推移している。

◇図:ブロイラー平均輸入価格とバーツ為替相場◇


弱含みで推移するバーツベースでの輸出価格

 タイ大蔵省が発表した98年11月の冷凍鶏肉の輸出統計によると、輸出量は1万
 9 千 8 百トン、輸出金額は14億 2 千万バーツとなっており、トン当たりの平均
輸出単価は、71,438バーツと前年比11.8%安となっている(左図参照)。

 冷凍鶏肉のバーツベース輸出単価が最も安かったのは、98年では米ドルベース
と同じ040月の71,190バーツ/トンで、その後、輸出単価は 7 万 5 千バーツ/ト
ン程度で推移している。また、タイブロイラー加工輸出業者協会の公表した99
年 1 月の統計によると、平均輸出単価は7万バーツ/トンで前年比10.3%安とな
っており、今後も引き続き安価な水準で推移するものとみられている。

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