世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○米農務省、トウモロコシ需給の拡大を予測


2008/09年度に収量、約 1 割の増加

 米農務省(USDA)が先頃発表した2008/09年度までの農産物需給予測(前提
条件などの詳細は、44ページを参照)によれば、米国のトウモロコシ生産量は、
99/2000年度とその翌年度には、価格の低迷により作付面積の減少が見込まれる
ことから、98/99年度の水準をそれぞれ2%下回ることが予想されている。作付
面積は、それらの水準から2002/03〜2005/06年度にかけて、わずかに回復した
後、 3 千3百万ヘクタールの水準でほぼ一定の動きを示すとみられているが、生
産量は、収量の伸びにより、2001/02年度以降前年を上回って推移し、2008/09
年度には98/99年度比13%増の 2 億8,200万トンに達するものと見込まれている。

 収量は、98/99年度の133.3ブッシェル/エーカー(8.4トン/ヘクタール)か
ら10年後の2008/09には、1割増の147.0ブッシェル/エーカー(9.2トン/ヘクタ
ール)へと増加が予想されている。その要因として、USDAは、Btコーン(害虫に
耐性を有するもの)に代表される遺伝子組み換えトウモロコシなど、バイオテク
ノロジーの発展・普及と生産者の作物生産技術の向上を挙げている。


国内消費量も10年で約 1 割増加

 USDAは、トウモロコシの国内消費量について、予測期間を通じて、毎年、前
年比で 1 %程度の伸びを見込んでおり、2008/09年度には、98/99年度と比較し
て13%の増加を予測している。内訳では、国内消費の大半を占める飼料用等向け
について、ブロイラーや豚などの生産拡大に伴い、2008/09年度には、98/99年
度と比べて 9 %増の 1 億6,260万トンへ増加するものと見込んでいる。

 一方、食料・種子・工業原料用(FSI)向けの消費量は、主として異性化糖と
エタノールの需要が引き続き増加するため、98/99年度の 4 千 7 百万トンから
2008/09年度には、 2 割強の増加が見込まれている。


貿易量の伸び、前年の予測を下方修正

 米国のトウモロコシ輸出量については、アジア諸国の経済危機などで不振とな
っている現在の水準から、それらの国々の経済状況の改善などに伴い、増加して
いくものと見込まれている。2008/09年度の輸出量について、USDAは、98/99
年度と比較して49%増の6千350万トンになるとしている。

 今回の需給予測では、世界の貿易量の予測値が前回の予測から下方修正されて
おり、例えば、2007/08年度については、600万トンの引き下げが行われている。
この要因の 1 つとして、USDAは、中国の穀物政策の変化を予測の前提に入れた
ことを挙げている。中国政府は、98年春に穀物流通体制の改革を発表したが、こ
の中では、生産者の穀物売り渡しの希望がある時は、地方政府が全量買い上げる
ことが義務付けられるなど、生産者の増産意欲を刺激する内容となっている。こ
のため、今回の予測においては、中国での生産増加とこれに伴う輸入量減少の見
込みが考慮された。

 国別の貿易動向では、予測期間を通して、日本が引き続き最大の輸入国となっ
ているが、シェアは、2008/09年度には98/99年度から7.8ポイントマイナスの
17.1%まで低下すると予想されている。逆に、シェアの増加が見込まれているの
は、東南アジア、北アフリカ・中東、ラテンアメリカ(メキシコを除く)などの
地域である。

 輸出国では最大の米国のシェアが、60%台の後半から70%の範囲で、ほぼ安定
的に推移すると見込まれる一方で、品種の改良や効果的な肥料の投入などで収量
の伸びが期待されるアルゼンチンでは、98/99年度の16.1%から2008/09年度に
は23.5%に拡大することが予測されている。


価格は、2000/01年度以降上向き

 現在低迷を続けているトウモロコシ価格(生産者受取価格)については、98/
99年度およびその翌年度は2.00ドル/ブッシェルと、引き続き低水準で推移する
としているが、2000/01年度以降は、需要の拡大などにより徐々に持ち直し、
2003/04年度からは2.50ドル/ブッシェル台で推移すると予測されている。

米国のトウモロコシ需給予測
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 資料:USDA
  注:消費量は、四捨五入の関係で内訳の合計と合わないところがある。

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