NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○低下し続ける酪農場価格


過去 5 年間で最低の水準に

 ニュージーランドの家畜改良公社(LIC)によると、98年上半期(1〜6月)の
同国の酪農場平均売買価格(インフレ調整後価格)は、前年同期を10.1%下回る
11,322NZドル(約75万円:1NZドル=66円)/haとなり、前年に引き続き下落が
見られた。

 酪農場価格は、90年代以降、アジア向けを中心とした乳製品の輸出拡大などに
支えられ、乳価が高水準で推移し、酪農の収益性が向上したことを背景に大幅に
上昇した。特に95年は、88年の2倍以上の水準にまで上昇したが、その後は一転
し下落傾向が続いている。

◇図:酪農場価格の推移◇


酪農家の負担増が背景に

 高騰し続けた酪農場価格が上げ止まり、その後下落に転じた背景としては、急
激な酪農場価格の上昇により購入者の負担が著しく大きくなったことが挙げられ
る。酪農家の経営状況(オーナー経営の場合)を見ると、支出経費のうち、最も
ウエートの高い、酪農場購入時の借入金の支払利子が年々上昇していることがう
かがえる。LICによると、97/98年度(97年 6 月〜98年5月)の支出経費全体に占
める支払利子の割合は、23.3%と93/94年度の15.7%から7.6ポイントも高まって
いる。こうしたことから、酪農場価格の上昇が新規参入者や規模拡大を志す酪農
家にとって阻害要因となり、その後の酪農場売買件数の減少を導いている。


かなり割高な酪農場

 一方、酪農場 1 ヘクタール当たりの売買価格を他の放牧農場と比較すると、97
年においては肉牛肥育農場の5.8倍、その他の放牧用農場と比べると21.2倍もの高
水準となっている。酪農場などの農場価格は、96年以降いずれも軟調となってい
るものの、酪農用途以外の農場価格の下落率が大きいことから、酪農場とその他
の農場との価格差が拡大する傾向にある。

◇図:各農地別面積割合(96年)◇

 なお、96年時点のニュージーランドにおける酪農場総面積は202万ヘクタールで、
総農場面積の約12%を占めている。これを86年と比較すると、肉牛、羊産業が概
して不振であったことから総農場面積は22.4%減少したにもかかわらず、酪農場
面積は44.7%増の大幅な伸びを示している。

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