米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年の記録的な高乳価の反動で、乳価は一時低迷の見込み


 米農務省(USDA)は、 2 月22〜23日に開催された「農業観測会議」において、
2008年までの農業全般の需給に関する長期見通しを公表した。生乳の生産動向な
どに関する概要は以下の通りである(策定に当たっての前提条件等については、
44ページ参照)。

生乳の生産動向などに関する長期見通し
mi-us05.gif (5459 バイト)
 資料:USDA「Agricultural Baseline Projections to 2008」
 注1:各年度は10月から翌年9月
  2:98/99年度は見込み値、99/2000年度以降は予測値


生乳生産、乳製品需要は着実に増加

 生乳生産は着実に増加し、2008年には98年と比較して11.9%増の8,090万トンに
達すると予測される。経産牛頭数は、引き続き減少するものの、飼料価格が低水
準にあることから、 1 頭当たり乳量の増加は持続するとみられる。

◇図:生乳生産量と経産牛頭数◇

  乳製品の需要は、経済成長と人口増加に支えられ、緩やかに増加するものとみ
られている。チーズや加工食品分野における乳製品の需要は今後とも増加するも
のの、飲用乳の需要は停滞すると予測される。


実質乳価の低迷により、酪農家戸数は引き続き減少

 乳価について見ると、最近の記録的な高乳価を背景として、99年は生乳生産が
急激に増加する一方で、乳製品の需要が一時的に減退することから、需給バラン
スが回復するまでのしばらくの間、乳価は低水準で推移するとみられる。その後、
2000/01年度から乳価は上昇に転ずるが、その伸びは物価上昇率をわずかに下回
るものと予測される。

 この結果、実質乳価の低下により、小規模酪農家を中心として離農傾向は継続
するとみられる。特に限界地においては、放牧主体の経営形態により経営を継続
できる酪農家も見られるが、このような経営形態は今後、経営の継続が困難にな
ってくるものとみられる。生乳生産は、今後とも西部地域で拡大することが見込
まれるものの、アルファルファの供給余力が限られていることや環境的な抑制要
因により、これまでに比べその伸び率は低下するものと見込まれる。また、北部
においても企業的な経営体がやや増加すると見込まれる。これら一部経営体の生
産拡大が、全体の経産牛頭数の減少を 1 %台にとどめるものと予測される。

◇図:生乳農家販売価格(全生乳)◇


国際市場との価格差により、乳製品輸出には補助金が不可欠

 乳製品の国際価格は、最近の需要減退が収まれば、上昇に転ずるとみられる。
しかし、国際価格は米国内の価格と比較すると25〜50%程度低いため、輸出補助
金なしでの輸出量は少量にとどまるものと予測される。このため、ガット・ウル
グアイラウンド(UR)合意で対象数量の上限などが決められている乳製品輸出促
進計画(DEIP)による補助金付き輸出が継続されるものとみられる。

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