豪州・NZ、食品安全基準の全面改訂案を公表


食品の多様化、安全性に配慮した基準への見直し

 豪州・ニュージーランド食品基準局(ANZFA)は、近年における食品の多様化
に対応して、消費者への安全性に関する的確な情報を提供できる体制を整えるた
め 2 月17日、従来の食品安全基準(フード・スタンダード・コード)を全面的に
見直した改訂案を公表した。

 ANZFAは、共通の食品安全性基準を定めることを目的に91年に設置された両国
の経済緊密化協定に基づく最初の共同運営実務機関である。豪州の保健・家族サ
ービス省の管轄下に置かれているものの、独立性の強い性格を有している。

 また、ANZFAの主な業務は、両国共通の食品安全基準の整備・改訂であるが、
当該基準に基づく実際の食品流通販売の管理・監督行政は、豪州の各州政府およ
びNZ政府が、それぞれ関連する規則を定めて実施している。


現行の基準では消費者の負担が増加

 ANZFAは、従来から、新たな範ちゅうの食品が開発されるのに合わせて、これ
らの食品の安全性が的確に評価されることを保証するべく、食品安全基準の部分
改訂を漸次実施してきた。しかし、近年においては、多種多様な機能性食品など
の開発が著しく増加し、現行基準の多くの項目がその目的を達成できなくなりつ
つあることから、87年に当該基準が制定されて以来の全面改訂を行うこととなっ
た。

 ANZFAは、今回の全面改訂が必要となった背景として、日常的に供される基礎
食品を主な対象としている現行基準では、近年の消費者の需要に応じて製造され
る多種多様な食品群の安全性についての適正な評価が困難となっており、現行基
準の硬直的な食品分類への無理な対応が食品の製造コストを増加させ、最終的に
は消費者に負担を強いる結果となっていることを挙げている。

 身近な具体例としては、近年、砂糖が少なく果実エキスの多いスプレッド製品
が消費者の人気を集めているにもかかわらず、現行基準では「ジャム」としては
分類されないため、その安全基準が適用されないなどの問題が提示された。


次世紀の食品安全性問題も意識した内容

 また、今回の改訂におけるその他の特筆事項としては、@表示ラベルの大きさ
や、表示文字の規格、使用言語(英語)などを指定して読みやすさを保証したこ
と、A特定の消費者に(アレルギーなどの)健康上の影響を及ぼす可能性のある
食品群(麦、卵、牛乳、魚介類、ピーナツなど)に関する特別な記述を求めたこ
と、B飲食店における料理や生鮮果実・野菜などの未包装食品についても消費者
に健康・安全上の情報提示を求めたことなどを挙げている。

 ANZFAは、改訂案の公表に当たり、新たな食品安全基準が、次世紀における食
品安全性問題にも十分に対応できる幅広い内容になったと自信を示している。


関係団体からの意見聴取後、ANZFSCの議決を得て施行へ

 今回公表された改訂案は、今後、食品業界、消費者団体などからの意見を募っ
た後、両国の連邦・州保健担当大臣によって構成される豪州・ニュージーランド
食品基準会議(ANZFSC)に提出され、そこでの議決を経て、各行政府によって
施行されることとなる。

 従来の枠には当てはまらない新たな範ちゅうの食品群が大量に開発される中で、
食品の安全性の問題は、消費者にとってますます関心の高い問題となりつつある。

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