98年の国民経済と社会発展統計公報を発表(中国)


98年の経済目標をおおむね達成

 中国国家統計局は 2 月26日、「98年の国民経済と社会発展統計公報」を発表し
た。これは、98年の農・工業をはじめとする経済活動の成果を取りまとめた公式
統計の速報である。この中で同局は、98年、中国は複雑で厳しい国内外の経済環
境の中、アジア地域の経済危機や未曾有(みぞう)の大水害を克服し、世界の注
目を集める成果を上げたと評価している。

 朱鎔基首相は、自らが首相に選任された98年 3 月の全国人民代表大会(国会に
相当)において、98年のマクロ政策の目玉として、国内総生産(GDP)伸び率を 
8 %とすること、および小売物価上昇率を 3 %以内に抑制することを掲げていた。
結果的には、小売物価総水準は2.6%低下し、また、GDP伸び率は7.8%と目標を割
り込んだものの、おおむね公約は達成されたとの見方が強い。


食糧、食肉生産は前年を上回る

 同公報では、食糧(穀物、マメ類、イモ類)の生産量を前年(4億9,417万トン)
並みの 4 億9千万トン以上としており、4年連続の豊作が統計の上でも確認され
ることとなった。98年の夏季食糧は、生育期の低温、多雨の影響で昨年に比べて
1,460万トンの減収となり、また、早稲は甚大な洪水の被害によって530万トンの
減収となっていた。しかし、秋季食糧は良好な天候、気温に恵まれ、作付面積の
拡大でトウモロコシが増産したことから、通年では前年を上回る生産量になると
報告されている。

 一方、畜産業も順調に発展したと評価されており、畜種別の内訳は公表されて
いないものの、主要な食肉の生産量(豚肉、牛肉および羊肉の合計)は前年(4,
090万トン)と比べて6.5%増の4,355万トンと報告された。


農村経済の活発化が次年度成長のカギ

 中国は現在、国有企業改革をはじめとする経済改革の推進に努めているが、そ
れに伴う余剰人員の問題など困難な課題を抱えている。また、物価水準の低下は、
消費需要の落ち込みによるデフレ状況を生み出していると言われており、こうし
た経済活動の停滞傾向は農村部にも影を落としている。都市部における労働力需
要が減退し、農民は農業以外の収入が得難くなっており、農村部の消費活動も停
滞の度合いを深めている。98年は経済成長 8 %の目標達成のため、農村における
経済活動の盛り上がりに期待が込められていただけに、次年度に向けて状況は楽
観視できないとの警戒感も強く、人口の8割を占める農民の増収をいかに図るか
が経済の安定的成長を達成するカギになると思われる。

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