シンガポール、高品質の国産鶏卵生産を奨励


政府は高品質鶏卵計画を展開

 シンガポール国民の多くは、高価格の食品よりも新鮮で安価な鶏卵から多くの
たんぱく質を摂取することを希望している。

 これを満たすため、シンガポール第一次産品局(PPD)は、消費者に新鮮で良質
な鶏卵を供給するとともに、国内の鶏卵生産者などの健全な育成を図るために高
品質鶏卵計画(SQES)を展開している。これは、PPDが生産、保管、包装のそれ
ぞれの段階において衛生基準を定め、これらを満たす鶏卵の生産・出荷を奨励す
るものである。


ロゴマークで高品質鶏卵提供の効果を狙う

 SQESの基準を満たす鶏卵には、PPDから高品質の証としてSQESロゴマークを付
けることが許可されている。

 PPDはSQESの実施により、消費者が新鮮で良質な国産鶏卵とそれ以外のものと
の区別が容易になり、さらに生産者が改善すべき多くの事項の把握ができるとと
もに、PPDの支援により衛生基準を満たすことができるなどとして、その効果が大
いに期待できるとしている。

 鶏卵生産者がSQESに参画するには、飼養する採卵鶏の健康状況などPPDが定め
る選定基準に合格した上で、年間登録料として500シンガポールドル(約 3 万5千
円: 1 シンガポールドル=約70円、以下「S$」)をPPDに支払う。また、生産者
は、毎週、出荷前の鶏卵から無作為に抽出した300個について、PPDの検査官によ
る鮮度などの検査を受けることとなる。なお、PPDの選定基準を満たさなくなった
場合、もしくは検査に不合格となった生産者は、登録を取り消される。現在のと
ころ、PPDの選定基準を満たし登録されているのは、大規模な 7 生産者のうち 5
 者となっている。


量販店はSQES鶏卵ブランドの確立を図る

 今般、SQESのロゴマークが付された鶏卵(以下「SQES鶏卵」)が、労働組合
が運営する量販店に初めて登場した。SQES鶏卵の小売価格は、 1 パック(10個)
当たり1.45〜2.5S$(102〜175円)となっており、1.1〜1.5S$(77〜105円)で
販売されているマレーシア産鶏卵と比べ割高となっている。しかし、 2 月17日
までのプロモーション期間中、2.5S$パックを購入した消費者には、 6 個入り
の鶏卵 1 パックが無料で提供された。

 同量販店は、現在、数種類の輸入鶏卵をブランド化して販売する中で、これを
契機にSQES鶏卵を新しいブランドとして確立することをPPDの登録生産者に働き
かけたいとしている。

 なお、同国の97年の鶏卵生産量は、消費量の約35%に相当する約 3 億 2 千万
個、また、シンガポール人 1 人当たりの年間の鶏卵消費量は、約270個となって
いる。

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