◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、肥育牛価格(ネブラスカ州の相対取引価格、去 勢、1,100〜1,300ポンド)は、今年に入って緩やかな上昇を続け、6月には前年同 月比3.5%高の65.5ドル/100ポンド(176円/kg:1ドル=約122円)となった(左 図参照)。また、肥育素牛価格(オクラホマシテイの市場価格、去勢、600〜650 ポンド)も、98年10月以降上昇基調にあり、6月には前年同月比5.9%高の82ドル /100ポンド(220円/kg)となった。 ◇図:肥育素牛価格◇
このような価格の上昇は、牛肉の需要が活発であることによる。国内市場では、 好景気を背景にロインなどの高級部位の需要が高まったが、特に6月は、父の日 (6月第3日曜日)や独立記念日(7月4日)に向けたバーベキュー需要が価格を押 し上げた。また、輸出市場でも、メキシコ向けや韓国向けを中心に増加傾向にあ り、今年1月以降前年を10%程度上回って推移している。
堅調な価格を反映して、フィードロットへの導入頭数も大幅に増加している。 USDAによると、5月の主要7州におけるフィードロット導入頭数は、172万1千頭 と前年同月をわずかに下回ったものの、1〜5月で見ると前年同期を11%上回って いる。業界では、6月も前年を5%程度上回るとみている。このように、フィード ロットにおける飼養頭数が既に高水準にあり、牛肉供給も潤沢であるにもかかわ らず、導入が衰えを見せないのは、肥育牛価格が堅調な上にトウモロコシなどの 飼料価格が低迷しているため、フィードロットの収益性が良好であることが主因 とみられる。 ◇図:フィードロットへの導入頭数(主要7州)◇
しかし、業界アナリストの見方を総合すると、肥育牛価格は、フィードロット において導入が大量に行われた結果、飼養頭数がさらに増加して出荷への圧力が 高まることから、今後は下落するものとみられる。さらに、需要面でも安値が続 く豚肉との競合の激化が予想されることから、業界では、今年夏から秋にかけて 60ドル程度まで下がるとの厳しい見方をしている。
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