◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、6月の生乳農家販売価格(飲用規格乳および加工 用規格乳の加重平均)は、13.2ドル/100ポンド(約36円/kg:1ドル=約122円) と、前年水準には達しなかったものの前月をわずかに上回り、4月以降の緩やか な上昇傾向を堅持した(左図参照)。これは、回復傾向にある乳製品価格を反映 した加工用規格乳(グレードB)価格の上昇とこれに影響を受けた飲用規格乳 (グレードA)価格の上昇によるものである。連邦ミルク・マーケテイング・オ ーダー制度の下でグレードA生乳の価格の算定基礎をなし、ミネソタ、ウィスコ ンシン両州のグレードB価格などを基に算出される基礎公式価格(BFP)も、6月 は前月よりわずかに上昇している。 ◇図:BFPと主要乳製品の卸売価格◇
USDAでは、生乳生産量が依然として高水準にあり、乳製品の在庫も大量であ るにもかかわらず、このように価格が下げ止まりの傾向を示しているのは、飲用 乳やチーズなどの需要が好調な経済を反映して堅調であるためとみている。中で も、生乳の50%近くが仕向けられるチーズは、生産量が高水準で推移しているに もかかわらず、旺盛な需要に支えられて価格が上昇してきており、6月には前月 より11%程度高い1.38ドル/ポンド(約371円/kg)まで回復した。 ◇図:チーズの生産量◇
こうした中、USDAは、99年度(99年7月〜2000年6月)の乳製品輸出奨励計画 (DEIP)の品目別、地域別割当数量を発表した。DEIPは、ガット・ウルグアイラ ウンド(UR)合意に基づく乳製品の補助金付き輸出計画であり、今年度も前年度 に続いてURで合意された限度数量が100%割り当てられた。業界関係者は、この 公表をあらかじめ予想していたものの、これを契機に輸出需要が活発化し、乳製 品価格の回復が後押しされるのではと期待している。 DEIPの品目別、地域別割当数量 資料:USDA 注1:各年度は、7月から翌年6月まで 2:98年度追加割当は、過去の未使用枠を99年5月に再度割り当てたもの
しかしながら、USDAは、99年通年の平均生乳価格は、生乳生産量が前年をさ らに3%程度上回ることから、記録的に高かった前年水準を維持することはでき ないと予測している。USDAによると、99年のBFP価格は、11ドル/100ポンド (約30円/kg)まで下がる一方、生乳農家販売価格は、飲用向けが上半期に好調 だったことから2ドル程度の下落にとどまり、99年平均では13ドル/100ポンド (約35円/kg)台前半となるものとみられる。
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