世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○米国のトウモロコシ収穫ほぼ完了、需給のポイントは需要面に


収穫は前年を上回るハイペースで進む

 米農務省(USDA)は、11月7日現在の主要17州のトウモロコシ収穫率を発表
した。これによれば、収穫作業はおおむね好天に恵まれ順調に進んだことから、
収穫率は95%と高水準に達しており、前年同期の89%を6ポイント、過去5年間
(94〜98年)平均の83%を12ポイント上回るものとなった。

 これを州別に見ると、南部のジョージア州では100%収穫を完了しており、ま
た、主要生産地帯である中西部地区では、アイオワ州が98%、イリノイ州が98%、
ネブラスカ州が94%と、いずれも前年同期を7〜8ポイント上回るハイペースで収
穫が進んでいる。


生産量は2億4千万トン台へ

 収穫が大詰めを迎え、生産状況の実態が明らかとなってきた。USDAが10月に
発表した生産量は、前年度比3.0%減の2億4,047万トン(単収133.5ブッシェル/
エーカー(8.4トン/ヘクタール))と予測され、9月時点よりも約220万トン
(0.9%)上方修正された。

 今年7月下旬から8月上旬にかけて米国の大西洋側中部諸州を襲った高温と乾
燥した気候の影響が一時懸念されたが、それほどの生産の落ち込みは見られず、
むしろ、生産は急速に回復したことが明らかとなった。業界関係者の間では、US
DAが発表する11月の生産見通しは、さらに上方修正されるのではないかと予想
している。


今後の需給は需要面がポイントの1つ

 トウモロコシ価格(シカゴ相場の先物、期近価格、各月最終取引日の終値)は、
昨年8月に187セント/ブッシェルを記録した後、やや回復の兆しを見せたものの、
その後200〜230セント/ブッシェルの幅で動いており、長らく低迷を続けている
(左図参照)。これは、ここ3年間の米国のトウモロコシ生産が順調な一方で、
アジアの需要減などから供給過剰ぎみで推移したのを反映したものである。これ
により、本年9月1日現在の在庫量は、前年比37%増の4,563万トンと3年連続で増
加した。

 USDAの需給見通しによれば、99/2000年度の需要面については、国内消費が
前年度比1%増の1億8,746万トンとみられており、ブロイラー生産の頭打ちな
どから9月時点よりも190万トン下方修正された。輸出は、アジア市場の経済好転
に伴う需要回復を期待しているものの、前年度比8.7%減の4,750万トンとみられ
ている。

 また、今年度のロシア向け食糧援助に基づくトウモロコシの援助規模も需給に
影響を及ぼすことから、その動向も注目されている。USDAは、引き続き供給量
が需要量を上回るとみており、2000年9月時点の在庫量はさらに積み増しされる
と予測している。

◇図:米国のトウモロコシ需給◇


注目されるアルゼンチンの作付状況

 米国のトウモロコシの収穫がほぼ完了に近づき、今後の需給のもう1つのポイ
ントとして、米国に次ぐ世界2位の輸出国であるアルゼンチンの作付状況に注目
が集まっている。

 アルゼンチン農牧水産食糧庁が発表した99/2000年度のトウモロコシの作付面
積は、前年度比10%増の359万ヘクタール、生産量については、昨年の降雨不足
と価格低迷による落ち込みから、今年度は前年度比15%増の1,550万トンに回復
すると予測されている。

 なお、10月末現在の作付状況は、全体の60%が完了したとされており、例年よ
りやや速いペースで進んでいる。

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