世界でも有数のリニエルス家畜市場の肉牛取引(アルゼンチン)


年間の取引頭数は181万頭

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレス市に立地するリニエルス家畜市場は、年
間約181万頭(98年)の肉牛が取り引きされ、世界でも有数の規模を誇る。取引
頭数は、全国のと畜頭数の約16%に相当し、その多くはパンパ地域のと畜業者に
買い取られる。

 同市場は、1901年に国営の家畜市場として設立されたが、91年以降は、100の
仲買人業者で組織されたメルカドデリニエルス株式会社により、市場の管理運営
が行われている。

リニエルス家畜市場の取引結果(98年)
riniels.gif (3752 バイト)
 資料:アルゼンチン農牧水産食糧庁


同市場の取引結果が全国の指標価格に

 リニエルス市場の開催日は、毎週月曜日から金曜日(祝祭日を除く)で、取引
は15〜30頭の群セリ方式により、生体1kg当たりの価格で行われる。牛群は出荷
者単位で、品種、年齢、肉付きを基本として分類される。市場へは前日に搬入さ
れ、取引の翌日にと畜されるのが一般的である。

 同市場の取引価格は、同国の肉牛取引の主流である直接取引における価格決定
の基礎になるものである。また、サンタフェ州のロサリオ先物取引所で、9月1日
から去勢牛の先物取引とオプション取引が導入されたが、これらの指標価格は、
同市場の381kgから480kgの去勢牛の取引価格を基礎に算定されている。


口蹄疫清浄化対策により取引後の制限を緩和

 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は、口蹄疫などの家畜伝染病予
防対策の一環として、83年以降、リニエルス家畜市場における家畜取引後、直ち
にと畜されるもののみに制限してきた。しかし、同国が99年5月、口蹄疫ワクチ
ン接種の中止に踏み切ったことや、同市場における衛生管理体制が強化されたこ
とを背景に、SENASAは、10月1日以降、衛生証明書の添付を条件に、肥育仕向け
の家畜を取引後、他の生産現場へ搬出することを許可する決議を採択した。


取引の選択肢が増える生産者にとってメリットは大

 従来、リニエルス家畜市場では、望ましい仕上がり状態に至らない肥育牛につ
いては、直接取引の際、バイヤーによって買いたたかれたり、また、市場出荷時
の輸送コストを節減するため、早期の段階でと畜に回されたりしていた。同市場
関係者は、今回の措置により、飼い直しを必要とする肥育牛の市場出荷が可能と
なったことから、取引の選択肢が増えた生産者にとって、メリットは大きいとし
ている。なお、家畜市場を通さない供給ルートが確立されている肥育素牛につい
ては、影響は少ないとみている。

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