◇絵でみる需給動向◇
行政院農業委員会(農業省に相当)の発表によると、98年 1 〜 9 月の肉豚 のと畜頭数は764万頭となり、10〜12月の推計値238万頭を加えると98年全 体では1,002万頭となる見通しとなった。これを政府が公表している台湾にお ける年間需要頭数980万頭と比較すると2.2%の超過にとどまり、輸出がほとん ど停止状態にある台湾の豚肉需給が、ほぼ「自己完結型」に落ち着いてきてい ることを物語っている。
97年 3 月の口蹄疫発生前、96年の肉豚のと畜頭数は約1,431万頭で、その うち約650万頭分の豚肉がわが国へ輸出されていたとされるが、そのうち内臓 などの台湾で特に好まれる部位はほとんど国内で消費されていた。しかし、98 年の供給可能頭数が約 1 千万頭であることから、昨年は約430万頭分の内臓な どが不足したことになり、これが昨年の夏場における肉豚価格の急騰の一因と なったと考えられている。
昨年 5 月に行われた豚の飼養動向調査によると、繁殖母豚、哺乳豚およびそ の他の肥育豚といったすべてのカテゴリーで頭数が減少している上、将来の豚 群規模の動向を推察する際に重要な繁殖豚の減少幅が特に大きかったことから、 当分の間は肉豚の出荷頭数の減少は続くものと予測されていた。 9 月 5 日の 中元節をピークに下降に転じた肉豚価格が11月には早くも下げ止まったこと から、政府はそれが実証されたとしている。 しかし、肉豚価格は12月に入ると年末需要の盛り上がりを反映して再び急騰 しており、99年 1 月上旬の時点では殆どの肉豚卸売市場で生体100kg当たり 6 千元台後半で推移している。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
こうした状況の中、政府は養豚産業の効率化を図るため養豚離農事業を進め ている。離農の意志を持つ養豚農家は、98年11月から12月の 2 ヵ月間、申 請手続きを取ることとされていたが、11月末の時点で 6 百戸余りの農家から 申請が出されており、農業委員会は養豚農家に離農の機会を逃がさないよう注 意を促している。 農業委員会は、この措置と併せて、昨年 5 月に成立した畜牧法に基づいて養 豚場の登記管理が徹底すれば、豚の飼養頭数を適正な規模に保ち易くなり、肉 豚価格の安定が期待できるとしている。
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