米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年の牛肉生産量、過去最高に迫る


98年の牛肉生産量、1,160万トン台に達する見込み

 米農務省(USDA)の11月時点の需給予測によると、98年の牛肉生産量(枝肉換
算ベース)は前年比1.1%増の1,161万トンになる見込みである。年間の生産量と
しては、キャトルサイクルのピークであった96年の水準を抜き、過去最高の76年
(1,164万トン)に迫るものである。

◇図:牛肉生産量◇


枝肉重量の増加および干ばつによる経産牛のと畜増が要因

 一方、と畜頭数は、キャトルサイクルの下降局面にある中で、引き続き減少し
ている。しかし、@牛肉生産は高水準にあるものの、牛肉消費が減少傾向にある
こと、A肥育豚価格、豚肉価格が記録的な低水準にあることから、安価な豚肉に
押されて牛肉の供給過剰傾向が続いており、結果として肥育期間が長期化される
傾向が見られる。この結果、平均枝肉重量が増加しており、このことが、と畜頭
数の減少が続いているにもかかわらず牛肉生産量が増加する主要因となっている。
加えて、98年の夏にテキサス州などの南部を中心に干ばつに見舞われたが、この
影響により繁殖雌牛のと畜が増加したことも、牛肉生産量の増加要因の1つとし
て挙げられる。

◇図:平均枝肉重量◇


99年の牛肉生産量、前年比6.5%減少

 99年については、@平均枝肉重量は、既に過去最高水準に達していることから
これ以上の増加は見込めず、また、Aと畜頭数は、95年上半期をピークに子牛生
産頭数の減少が続いてることから、確実に減少すると見込まれている。USDAによ
ると、99年の牛肉生産量は、98年秋に導入された大型の肥育素牛が出荷される99
年第 1 四半期で、前年同期比4.7%減となるものの、それ以後は同 7 〜 8 %減
に落ち込むものとみられており、年間では前年比6.5%減の1,085万トンになると
予測されている。

 前述した98年夏の繁殖雌牛のと畜増が牛群縮小を加速したと言われており、今
後の牛肉生産動向を占う上で、99年1月29日にUSDAから公表される牛の飼養動向
(99年1 月 1 日現在)の調査結果が注目される。

◇図:四半期別牛肉生産量◇


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