米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○99年のブロイラー輸出は前年水準を割る見込み、ただし生産は引き続き増加


99年のブロイラー輸出、15年ぶりに前年水準を割り込む見込み

 米農務省(USDA)の98年11月時点の需給予測によると、98年のブロイラー輸出
量(可食処理ベース(骨付き))は、前年比0.4%増の212万4千トンとほぼ前年
水準を維持するものの、99年には、同3.4%減の205万2千トンとなる見込みであ
る。98年8月時点の需給予測と比較すると、98年については17万4千トン減、99
年は27万3千トン減と大幅に下方修正された。この修正には、米国産鶏肉の最大
の輸出先であるロシア向けの輸出が、大幅に減少すると見込まれることが影響し
ている。99年のブロイラー輸出量が前年水準を下回った場合、84年以来15年ぶり
のこととなる。

◇図:ブロイラーの輸出量◇


順調な国内消費増を受けて、99年もブロイラー生産は拡大傾向を維持

 一方、99年のブロイラー生産量は、前年比5.4%増の1,325万トン(可食処理ベ
ース(骨付き))になる見込みで、引き続き生産拡大傾向を維持するとみられる。

 この要因としては、第1に、ブロイラーの国内消費の順調な拡大が輸出の減少
を補うとみられることが挙げられる。@ブロイラーは他の食肉と比べ安価である
こと、A健康志向の高まりの中で消費者ニーズに合致したブロイラーを使用した
各種製品が提供されてきたことから、ブロイラーの国内消費は増加を続けている。
特に、近年急速に拡大しているHMR(ホーム・ミール・リプレイスメント)と呼ば
れる調理済製品にもブロイラーが多く用いられている。こうしたことから、USDA
によると、99年の1人当たりのブロイラー年間消費量(小売り重量ベース)は、
前年比5.9%増の35.2Kg/人に増加するものと予測されている。

◇図:ブロイラーの生産量◇


依然高い水準を維持する収益性が生産拡大を刺激

 第2に、ブロイラー生産加工業者は、依然高い収益を維持しており、これが今
後の生産刺激要素になるものとみられている。ブロイラーの卸売価格は、8月を
ピークに低下しているものの、飼料原料穀物の価格下落により、生産コストの約
6割を占める飼料費が前年と比べて2割以上圧縮されている。この結果、98年後
半のブロイラー生産加工業者の純収益は、近年まれに見る高水準となっている。
ただし、ブロイラーのロシアへの援助輸出の問題が未解決であることなど不安定
な要素も多く、今後の飼料原料穀物の価格動向によっては、比較的良好とみられ
る99年のブロイラー生産を取り巻く状況は大きく変化する可能性もある。

◇図:ブロイラーの生産費と純収益◇


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