◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、98/99年度の第 1 四半期( 7 〜 9 月)の生乳 生産量は、前年同期に比べ6.2%増の23億4千万リットルとなった。生乳生産は90 /91年度以降一貫して増加傾向が続いており、97/98年度については過去最高の 94億4千万リットルを記録した。その後98/99年度に入ってからも引き続き増加 傾向がみられ、最高記録を更新中である。
生乳の用途別をみると、98/99年度第1四半期における飲用向けは、前年同期 を2.1%上回る4億 9 千万リットルであったのに対し、加工向けについては前年 同期を7.2%上回る18億 4 千万リットルとなった。これは、近年飲用乳需要の大 きな伸びがみられないことから、生乳生産の増加分は加工向けに回されているこ とが背景にあり、加工向け数量は生乳生産量の推移にほぼ等しい動きを示してい る。 ◇図:生乳生産量および用途別処理量の対前年増減率◇
生乳増産の主な要因としては、まず、乳製品の輸出拡大と将来のさらなる伸び を見込んで、生産者の増頭意欲が高まっていることから、経産牛が増頭傾向にあ ることが挙げられる。 さらに、経産牛1頭当たりの泌乳量が増加していることも一因である。97/98 年度の1頭当たりの泌乳量は、これまでの最高値であった95/96年度の4,705リッ トルを更新し、4,744リットルとなった。豪州の酪農は、主として放牧による経営 形態を取っていることから、天候などによる牧草の生育状況に大きく左右される ものの、近年の育種改良や飼養管理の改善や、補助飼料としての穀物の給与が増 加したとされることなどから、1頭当たりの泌乳量は増加傾向にある。10年前の 泌乳量と比較すると、約3割の増加となっている。 ◇図:1 頭当たり泌乳量の推移◇
ADCによると、98/99年度に入り、天候が良好な日が続いていることからみて、 今後も引き続き生乳生産の増加が見込めるとしており、年度合計では98〜99億万 リットル程度と増産を見込んでいる。しかし、最近では、豪州政府の酪農業をめ ぐる規制緩和政策が進められていることから、その進行状況いかんでは、今後の 生産者の増産意欲を減退させることも考えられる。
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