国民の 9 割が七面鳥料理で感謝祭を祝う(米国)


感謝祭で消費される七面鳥は 4 千 5 百万羽

 米国では、毎年11月の第 4 木曜日(今年は26日)が感謝祭(サンクス・ギビン
グデー)のため祝日となる。この日は、開拓初期に米国に移住してきた人々が大
自然の厳しさを乗り越えて生き残ったことを神に感謝して、七面鳥、ロールパン、
カボチャのパイやサツマイモなどの夕食で家族と共にお祝いするのが伝統行事と
なっている。感謝祭の夕食のメインは、何と言っても七面鳥であり、この日のた
めに約 4 千 5 百万の丸と体が販売されるという。これは、年間の七面鳥処理羽
数の15%に相当する。

感謝祭の夕食は自宅で調理、中食利用はごく少数

 感謝祭に関係して 2 つの興味深い調査結果がある。 1 つ目は、米国食品雑貨
製造業者組合(GMA)の調査結果である。この調査によれば、回答者の 9 割が感
謝祭を七面鳥などの伝統的な料理を用意して、自宅や親戚・知人宅で祝うという。
これは、感謝祭を外食でなく、あくまで自宅などでお祝いするという伝統が未だ
に健在であることを示している。

 さらに、現在米国ではHMR(ホームミール・リプレイスメント)などのいわゆる
中食が急速に浸透しているが、回答者の82%は食材を購入し台所で調理して、感
謝祭の夕食を準備するとしており、七面鳥やカボチャのパイなどの調理済食品を
利用すると回答したのは、わずか6%に過ぎなかった。

 今回の調査結果に対して、GMAのグラバウスキー副理事長は、「食事の平均準備
時間が15分間にまで短縮してしまった現在、家族や友人と共に、感謝祭の料理の
楽しみを分かち合う家族を見るとさわやかな気分になる。感謝祭は、夕食の食卓
における伝統の最後の砦となっている」と述べている。


感謝祭の夕食の食材費は 7 年連続で上昇

 2つ目は、ファーム・ビューロー(AFBF)の調査結果である。AFBFは、毎年、
感謝祭の夕食の食材費用を調査している。食材の内容は、七面鳥やその中の詰め
物、サツマイモ、ロールパン、野菜、カボチャのパイ、コーヒーや牛乳などとな
っており、98年の費用は、10人前で33.09ドル(約 4 千円: 1 ドル=122円で換
算)で、昨年に比べて1.34ドルの値上がりとなった。この内訳は、生産量の減少
から七面鳥が24セント増、牛乳が19セント増などとなっている。食材の費用は7
年連続して上昇しているが、値上がり幅は、86年の28.74ドルと比較しても4.35ド
ル(15%)に過ぎないとしている。

 ところで、AFBFは、一部地域のスーパーにおいて、全く同様の食材を使用した
調理済食品が10人前相当で約40ドル(4,880円)であったと報告しており、未調理
の食材を購入した場合と比べて、わずか6.91ドル(843円)の価格差しかなかった
としている。これは、感謝祭の夕食を準備するに当たり、調理済食品の利用が少
ない理由が価格の問題ではないことを示しており、先のGMAの調査と併せると非常
に興味深い結果であると考えられる。ただし、感謝祭前日の夕食は、七面鳥など
の料理の準備に忙しくて、中食や宅配ピザのお世話になるという傾向が高いこと
は否めないらしい。


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