米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○導入頭数の増加により、フィードロット飼養頭数は前年を上回る


フィードロットの飼養頭数、前年比3.3%増

 米農務省(USDA)によると、主要7州におけるフィードロット(収容能力千頭
以上)の99年4月1日現在の牛飼養頭数は、前年同月比3.3%増の888万9千頭となっ
た。フィードロットにおける牛飼養頭数は、キャトルサイクルの下降局面で子牛
生産が減少していることを受けて、98年9月以降前年を下回って推移していたが、
99年3月から一転して2ヵ月連続で前年を上回った。

主要7州におけるフィードロットの飼養動向
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 資料:NASS/USDA「Cattle on feed」


99年に入り、導入頭数が大幅に増加

 飼養頭数増加の要因として、まず導入頭数の増加が挙げられる。フィードロッ
トにおける導入頭数は、99年に入り急増しており、3月の導入頭数は前年同月比
21.8%増の173万1千頭に達した。

◇図:主要7州のフィードロットにおける導入頭数◇

 直接的な影響は明確ではないものの、この導入頭数増加はフィードロットの収
益性の回復の動きに連動したものとなっている。飼料として用いられるトウモロ
コシなどの穀物価格の低迷と99年1月以降緩やかに上昇している肥育牛価格がフ
ィードロットの収益性の回復に大きく影響している。

◇図:フィードロットでの損益分岐点とマージンの推移◇


出荷抑制で肥育牛価格の上昇を狙うフィードロット

 一方出荷頭数を見ると、2月は前年同月比1.8%減と前年を下回った。3月の出
荷頭数は同4.9%増と数字上は前年をかなり上回っているものの、これは曜日の
関係でパッカーの操業日が前年同月に比べて多かったことが多分に影響している
とみられる。肥育牛価格は主にパッカーとフィードロットとの相対取引で決めら
れるが、フィードロット側が価格上昇を狙って出荷を抑制していると指摘する専
門家もおり、これがフィードロットの飼養頭数が増加した要因の1つとなってい
る。

 今後、祝日であるメモリアルデー(5月31日)を1つのピークとしてバーベキュ
ーなどによる牛肉需要の増加が見込まれる。しかし、飼養頭数が増加したことで
フィードロット側の交渉力が低下しているとの指摘もあり、今後の肥育牛価格の
動向については業界の中でも見方が分かれている。

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