米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○輸出不振と卸売価格下落の中でも、増加を続けるブロイラー生産


99年1〜4月のブロイラー生産量、前年同期比5.4%増

 98年8月に米国最大のブロイラー輸出先であるロシアで通貨ルーブルが切り下
げられて以降、米国のブロイラー輸出は不振が続いている。しかし、ブロイラー
生産は増加を続けている。米農務省(USDA)によると、99年1〜4月までのブロ
イラー生産量(連邦検査数量:可食処理ベース)は、前年同期比5.4%増の441万
3千トンとなった(左図参照)。

ブロイラー卸売価格、98年8月をピークに下落

 一方、4月のブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価格)は前年同月比5.9%
安の55.1セント/ポンド(147円/kg:1ドル=121円)となり、98年8月をピーク
に8ヵ月連続で前月を下回っている。部位別の卸売価格(北東部)を見ると、む
ね肉(骨なし)も同様に下降傾向にあったが、強い国内需要を受けて、4月には
同1.7%安の166セント/ポンド(443円/kg)と依然としてわずかに前年を下回っ
ているものの、前月から9.7セント反発した。これとは対照的に国内需要が弱く主
に輸出に向けられているもも肉(ホール)は、引き続き低下を続けており、4月
には同42.1%安の26セント/ポンド(69円/kg)と前年の2分の1程度にまで落ち
込んでいる。

◇図:ブロイラーの卸売り価格◇


好調な国内消費と生産コストの低下による収益維持が生産拡大の要因

 こうした状況の中で、生産拡大が続いている要因は、@国内消費が引き続き拡
大しているとみられること、A卸売価格が低下しても、穀物価格の低迷による生
産コストの低下によりブロイラー生産加工業者は十分な収益を維持していること
が挙げられる。USDAによると、99年3月時点でブロイラー生産で得られる収益
(丸どり1ポンド当たり:可食処理ベース)は、10.23セント/ポンド(27円/kg)
となっており、特に飼料コストが前年同月に比べて17.6%低下したことが収益の
確保に大きく寄与している。

◇図:ブロイラーの生産費と純収益◇

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