台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年の豚肉輸入、後半に集中


米国産が9割を占める

 通関統計によると、98年の台湾の豚肉輸入量は前年(84トン)と比較して約15
0倍の1万2,776トン(うち、冷蔵品は25トン)となった。これを輸入先別に見ると、
米国が1万1,411トン(89.3%)、カナダが1,336トン(10.5%)、その他が28トン
(0.2%)となっている。

 台湾では従来、国内需要を満たすのに十分な数の豚が飼養されていたことから
豚肉が輸入されることはほとんどなかった。しかし、97年3月の口蹄疫の発生で
輸出市場が閉ざされたことによる飼養頭数の減少(98年11月末現在、654万頭)
で、内臓や豚足などの需要の強い部位が不足したことや、98年2月の米国との世
界貿易機関(WTO)加盟交渉による米国産豚肉の輸入合意(98年はばら肉5千ト
ン、内臓など7千5百トン)によって、輸入量が飛躍的に増大したものとみられる。
農業委員会(農業省に相当)によると、98年の米国産豚ばら肉および内臓などの
輸入量はそれぞれ3.371トン、5,632トンで、合意数量の履行率はそれぞれ67%、
75%となった。


夏場の豚価急騰を契機に輸入増大

豚肉の輸入は7月まではほとんど行われなかったが、8月以降、特に10月から急増
しており8〜12月の期間で総輸入量の99%を占めている。肉豚卸売価格(生体100
kg)の動向を見ると、6月下旬以降9月上旬まで急騰したことから、8月からの大
量輸入は、安価な米国産冷凍豚肉を輸入することで輸入業者が利益確保を狙った
ものと考えられる。

 肉豚卸売価格は、9月にピークを迎え年末にかけて下降に転じたが暴落するこ
とはなく、最安値時でも5千元(1元=3.7円)以上の水準を維持した。台湾は肉豚
価格の大幅な変動を抑制するため、輸入という新たな「調整弁」を今後も利用せ
ざるを得ないものと思われる。

 なお、政府系機関紙「養猪報導」によると、99年における米国との豚肉輸入に
関する合意数量はばら肉および内臓などでそれぞれ5,450トン、7,850トンとなっ
ており、99年1〜2月の豚肉・内臓の合計輸入数量はすでに6,363トンと高水準の輸
入が続いている。

◇図:98年の肉豚輸入量の推移◇


輸出は香港向けが中心

 一方、98年の輸出を見ると、97年の1万6,709トンから1,399トンへ激減している。
これを輸出先別に見ると、97年は全体の81%がわが国へ仕向けられたのに対して、
98年は9割が香港へ、残りが中国本土へ輸出されている。

 なお、98年7月からわが国への加熱処理した豚肉およびその加工品の輸出が可
能となっているが、わが国政府から指定を受けた加熱処理施設は1工場にとどま
っており、その輸出量は98通年でも1トンに満たない。しかし、99年1〜2月の輸
出量はすでに36トンと増加の兆しを見せている。

元のページに戻る