オーガニック酪農家、農業利益は前年比4割増(デンマーク)


戸数も大幅増

 デンマークではオーガニック酪農家の経営収支が向上していることが、同国食
糧農水産省の農水産経済研究所の調査で明らかになった。一般酪農家と比べても
高い利益が得られている。この調査は、97/98年度のオーガニック酪農家の経営
状況を取りまとめたもので、昨年度(本誌「99年2月号」特別レポート参照)に
続き第2回目である。

 オーガニックに転換済みの酪農家(以下「オ酪農家」と言う。)の戸数は291
戸と、前年度(159戸)に比べ大幅に増加した。転換中の酪農家を加えた戸数も、
前年度(324戸)を上回る385戸となった。オ酪農家の経営概況を前年度と比較す
ると、年間搾乳牛飼養頭数はほぼ同じであるが、畜産用地面積がかなり増加した。
新規オ酪農家の経営規模が大きかったためであるが、全体としては、自給飼料基
盤が充実したこととなる。


穀物収益増により農業収益が増加

 オ酪農家の経営収支を前年度と比較すると、農業収益が増加し、農業経営費が
減少したため、農業利益が前年度に比べて約4割増加した。

 農業収益の増加は、主に穀物収益の増加によるものである。生乳価格は昨年度
より低下したが、搾乳牛1頭当たりの泌乳量が増加したため、生乳収益はほぼ横
ばいとなった。また、農地面積が増加したため、面積当たりで支払われているオ
ーガニック酪農への補助金も増加した。

 農業経営費の減少は、購入飼料費および雇用労働費が大幅に減少したことによ
るものである。オ酪農家は、一般酪農家に比べて、生産基準を満たすための設備
投資や広い経営面積により、減価償却費や雇用労働費が増加する。ただし、今回
の調査では、主として自給飼料基盤の充実により、購入飼料費が減少したため、
両者の農業経営費はほぼ同レベルとなった。

デンマークのオーガニック酪農家の経営状況(97/98)
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 1) 年間搾乳牛飼養頭数
 2) オーガニック補助金
 注:1デンマーククローネ=18円


今後も生産量は伸びる見込み

 デンマークのオーガニックミルクの生産量は、97/98年度には全体の3.5%で
あったが、本年夏までには7.5%にまで上昇するとみられている。また、昨年末
の時点では、デンマークの飲用牛乳の約2割、学校給食用牛乳の3割、発酵乳の
約1割、チーズおよびバターの約3%がオーガニックミルクから製造されている
と報じられている。

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