政府が豚生産者に対する支援策を公表(フランス)


総額3億9千万FF

 フランスでは、豚飼養頭数の増加などを背景として98年に豚肉価格が下落した。
その後も価格が低迷しており、同国の豚生産者の経営に悪影響が及んでいる。こ
のため、フランス政府は同年9月および11月に経営資金調達の支援措置などとし
て、1億フランスフラン(FF)(約20億円:1FF=20円)および1億5千万FF(約30
億円)の国内支援策を打ち出した。同国政府はさらに99年4月7日、総額1億4
千万FF(約28億円)の追加支援策を公表した。この内訳は次の通りである。

1 豚生産者の基金拠出金の軽減:1億FF(約20億円)

2 経営危機に直面している転職希望者への支援:2千万FF(約4億円)

3 最近に投資を行った豚生産者(特に山間部)への支援:8百万FF(約1億6
  千万円)

4 3の地域での豚生産への支援:2百万FF(約4千万円)

5 過疎地域での雇用者確保:1千万FF(約2億円)


EU委が前向きな対策を示さない中で独自の対策

 フランス政府は、EUにおける豚肉供給量の過剰問題が顕在化する中、EU委員会
に対し豚生産の抑制を図るためEU全域を対象とした対策を求めていた。この問題
に対して、同委員会は、豚肉輸出補助金の引き上げ、民間在庫補助の発動による
需給改善措置を講じたものの、生産量を削減するための対策に前向きな姿勢を示
していなかった。その背景には、既存の対策で、ある程度の成果が見られたとの
判断もあった。こういった状況の中、フランス政府は独自の国内支援策を打ち出
した。


生産および輸入増により国内需給が緩和

 フランスの養豚技術協会(ITP:Institut Technique du Porc)によると、同国にお
ける98年の豚肉需給バランスは次の通りである。

france.gif (2619 バイト)
 注1:枝肉ベース
  2:98年消費量はITP推計値

 これによると、98年の生産量は飼養頭数の増加を反映して増加(対前年比+4.7
%)した。また、輸出入量は、EU域内における豚肉市場の競争が激化したため、
輸入量はかなり増加(同+11.6%)したが、輸出量は減少(同−2.6%)した。こ
うした国内の需給状況に反した輸入量の増加に対し、同国の豚生産者団体からは
国産豚肉への回帰を求める運動が見られた。一方、消費量は、価格の低下を反映
して増加(同+4.3%)したものの、全体として豚肉需給は緩和した。この結果、
豚肉価格は、98年に低下基調で推移した。その後も、価格の低迷が続いており、
99年3月半ばの豚肉価格は前年と比較して約2割低い水準となっていた。

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