価格回復が見られた98年の養鶏産業(マレーシア)


98年に廃業が相次ぎ飼養羽数が減少

 マレーシア政府は、鶏肉需給を大きく左右するブロイラー用ひなの生産動向な
どを把握するため、毎年、マレー半島のブロイラー用ひな生産者を対象とした養
鶏産業の実態調査を行っている。

 公表された98年の調査結果によると、96年に42者、97年に31者を数えたブロイ
ラー用ひな生産者は、98年には年間ひな生産羽数1〜2千万羽未満の中規模インテ
グレーターが1者と主に北部地域の同5百万羽以下の小規模生産者6者がそれぞ
れ廃業したことから24者となった。

 その結果、ひな価格への影響力の大きいインテグレーターが5者およびそれ以
外の生産者が19者となり、これまで年々増加していた種鶏の飼養羽数は、前年比
6.5%減の355万羽となった。

 種鶏雌ひなの導入羽数も、97年が前年比3.7%増であったのに対し、98年は同
15.7%減の310万羽となった。これは、生産者が種鶏の更新を先送りすることに
より生産コストの削減を図ったためとみられ、特に、飼養羽数の多いインテグレ
ーターによる減少が大きく、その導入羽数は同20.9%減の198万羽となっている。


計画生産によりひな価格の低落を回避

 また、マレーシア産種鶏雌の市場取引に占める割合は、96年まで順調に拡大し
てきたものの、97年に7ポイント低下し61.9%となったが、98年には62.4%とわず
かに回復している。外国産は、タイ、米国・カナダ産の割合は変わらないものの、
98年はEU産の割合が前年の15.9%から12.5%に低下した。

 ブロイラー用ひなの生産羽数は、前年比1.1%減の3億7,754万羽となった。なお、
総生産羽数に占めるインテグレーターの割合は、前年に比べ9.3ポイント低下し63
.4%となっている。

 98年のブロイラー用ひなの価格は、97年の0.75リンギ(23円:1リンギ=約31
円)から大幅に上昇し0.95リンギ(29円)となった。これは、需要の増加による
価格の上昇ではなく、98年3月から1リンギを下回り始めた同価格に危機感を募ら
せた生産者が、97年に見られた過剰生産を回避するために、98年4月から計画生
産を実施したことによるものである。この結果、同価格は4月末には0.4リンギ
まで下落したが、6月以降は回復し年末までおおむね1リンギの水準で推移した。


ブロイラー生産量は前年並み、価格は17%回復

 また、ブロイラーの生産量は、前年比0.3%減の3億5,760万羽でほぼ前年並みと
なった。また、生体鶏の農家販売価格は、供給過剰であった97年の1kg当たり2.
69リンギ(83円)に対し、3.14リンギ(97円)と16.7%高となった。以上のよう
に、98年の同国の養鶏産業は、価格の回復が見られ、おおむね良好な年であった
とされている。

 一方、99年は、98年に引き続き計画生産が実施されることから、ひなの生産羽
数は同4.5%減の3億6千万羽と見込まれるとともに、養鶏業者は計画生産の効果
により、生産コストに見合うひなの価格が実現できるものと期待している。

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