USTR、中国とのWTO加盟交渉の成果を公表


農畜産物のほとんどの品目を関税化

 米通商代表部(USTR)は4月8日、クリントン大統領と朱首相による米中首脳
会談の結果を踏まえ、中国との世界貿易機関(WTO)加盟交渉の途中成果を公表
した。公表された資料は、@農業市場アクセス、A工業製品市場アクセス、Bサー
ビス、C議定書および作業部会報告によるコミットメントの4部構成となってい
る。

 農業市場アクセスに関する合意では、ほとんどすべての品目を関税に基づくシ
ステムに移行するとしている。特に注目すべきは、関税水準を米国の主要貿易相
手国よりも低い水準としたことに加え、米国の生産者にとっての優先品目につい
ては、さらなる関税の削減を図ったことであろう。


2004年までに農畜産物の平均関税率を17%に低減

 主な農畜産物の関税削減に関する合意内容は以下の通りであり、これらは、中国
のWTO加盟と同時に実行に移されることとなっている。

合意された主な農畜産物の関税率
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 この結果、中国の農産物に関する平均関税率は17%となり、米国の優先品目に
ついては14.5%まで引き下げられる。なお、最終期限が2004年とされたのは、ガ
ット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づく関税削減の最終実施期限(開発途上国)
に合わせたためである。


小麦、トウモロコシなどは関税割当制度に移行

 小麦およびトウモロコシなどのバルク商品については、関税割当制度が適用さ
れ、関税割当内の関税水準はおおよそ1〜3%となる。主要品目の関税割当枠は
以下の通りである。

小麦などの関税割当数量
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食肉などの検疫衛生規則に基づく輸入禁止措置を撤廃

 このほか、中国は米国との2国間協定に基づき、食肉、かんきつ類および小麦
に関する検疫衛生規則に基づく輸入禁止措置を、本協定の署名と同時に撤廃する
こととした。食肉については、これまでホテル・レストラン向けに2社だけが輸
入できることとなっていたが、中国が米農務省(USDA)の安全性に関する証明
書を受け入れることとしたことにより、米国産の牛肉、豚肉および家きん肉に対し
て中国市場が開放されることになる。

 以上のほか、主要商品に対する国家貿易企業の役割・関与の削減および輸出補助
金の撤廃などが合意された。

 今回公表された合意内容は農畜産物の大幅な関税引き下げなど、中国から大幅
な譲歩を引き出したものとなっていることから、最終合意には至っていないもの
の、これに対して畜産関係団体は一様に歓迎の意を表明している。

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