米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○牛乳乳製品の消費パターンの変化と栄養摂取


20年間の変化の統括

 米農務省(USDA)は先頃、過去約20年間における牛乳乳製品の消費パターン
の変化とそれに伴う栄養摂取の状況を明らかにした。これによると、94年におけ
る国民1人当たりのカルシウムおよび脂肪の摂取量は、70年に比べそれぞれ8%お
よび4%増加したが、その内訳は大きく変化している。


飲用牛乳の消費は4分の3に減少

 97年における1人当たりの飲用牛乳消費量は、24ガロン(90.8リットル)と70
年に比べて23.3%減少した。とりわけ、全脂牛乳の消費量は、70年の24.8ガロン
(93.9リットル)から97年には8.2ガロン(31.0リットル)と3分の1に減っている。
全脂牛乳は、45年をピークに減少の一途をたどっているが、これは、炭酸飲料な
どの競合飲料に対する消費者の嗜好が高まったことに加え、女性の間でカロリー
や脂肪の摂り過ぎに対する懸念が大きくなったことを反映している。このため、
牛乳消費は低脂肪化が進み、70年と比べると脂肪低減牛乳(乳脂率2%)は2.5倍、
また、低脂肪牛乳(同1%および0.5%)は13倍に増加し、脂肪をほとんど含まな
い脱脂牛乳(同0.5%未満)の消費量も3倍程度増加した。販売量におけるシェア
(98年)で見ても、全脂牛乳が31.1%であるのに対し、低脂肪牛乳(脂肪低減牛
乳を含む。)は40.3%と、牛乳消費の主流となっている。また、97年の1人当た
り炭酸飲料消費量は、41ガロン(155.2リットル)と飲用牛乳の1.7倍が飲まれて
いる。

牛乳乳製品の1人当たり消費量の推移
mi-us05.gif (8912 バイト)
 資料:ERS/USDA「Food Review」
 注1:栄養関連データの最新年。
  2:連邦規則では、牛乳を乳脂率別に全脂牛乳(Whole Milk:3.25%以上)、
    脂肪低減牛乳(Reduced MilkまたはLess Fat Milk:2%)、低脂肪牛乳
    (Low Fat MilkまたはLittle Fat Milk: 0.5%、1.0%、1.5%)、脱脂牛乳
    (Skim Milk、Fat-Free Milk、Zero-Fat MilkまたはNo-Fat Milk:0.5%
    未満)に分類している。本レポートは、この規則に準じて分類して
    いる。
  3:フレーバー牛乳およびバターミルク
  4:フローズンヨーグルトを除く
  5:ハーフアンドハーフ、ライトクリーム、サワークリーム、およびエッグノッグ
  6:1ガロン=3.785リットル、1パイント=0.47リットル、1ポンド=0.4536kg。

◇図:飲用牛乳販売量のシェア◇


チーズの消費は2.5倍に増加

 一方、97年における1人当たりチーズの消費量は、28ポンド(12.7kg)と70年
の2.5倍となった。これは、外食の大幅な増加に代表される食生活の変化による
ところが大きい。ファストフードでピザ、チーズバーガーなどを消費する機会が
増えたことから、チーズの中でもピザに使用されるモッツァレラの消費量は、8.
4ポンド(3.8kg)と70年に比べると7倍に増加している。


チーズは最大のカルシウム源

 このような消費パターンの変化を反映して、カルシウム源はこの20年で大きく
変化した。カルシウム摂取に占める牛乳乳製品全体の割合では、4分の3程度とほ
ぼ同じである。しかし、70年には全脂牛乳が4割を占めていたのに対し、94年に
はチーズが23%と最大の摂取源となった。また、脂肪については、70年に比べる
と飲用牛乳由来の摂取が約半分に減ったものの、チーズおよびクリームからの摂
取が増えたことから、牛乳の低脂肪化が脂肪全体の摂取量の減少につながってい
ない結果となっている。

◇図:カルシウム摂取の内訳−1◇
◇図:カルシウム摂取の内訳−2◇

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