米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○輸出入ともに増加した上半期の牛肉貿易


輸出は韓国、メキシコ向けが大幅に増加

 米農務省(USDA)によると、99年上半期(1〜6月)の牛肉輸出量(枝肉ベー
ス)は、前年同期比8.1%増の約50万9千トンとなった。中でも、韓国向けは、同
国の経済が回復基調にあり、需要が堅調であった上に、通貨ウォンがドルに対し
て高水準で推移したことから、前年同期の2.5倍の6万1千トンと大幅な伸びを記
録した。また、メキシコ向けも、前年に比べて伸び率は鈍化したものの、ドル安
が追い風となって、前年同期を13.0%上回る9万3千トンとなった。これに対し、
最大の仕向先である日本向けは、ホテル・レストランなどの外食需要は堅調であ
ったものの、家計需要が伸び悩んだことなどから、前年同期比5.3%減の24万2千
トンに減少した。また、経済の混乱が続くロシア向けは、わずか1千トンと前年
同期の1割にも満たなかった。

◇図:上半期の牛肉輸出量◇


輸入は豪州、カナダが10%前後の伸び

 また、99年上半期の牛肉輸入量(枝肉ベース)は、前年同期比8.5%増の約6
5万3千トンと、輸出量とほぼ同様の伸びを示した。主な供給先別に見ると、オセ
アニアでは、ニュージーランドが、国内で牛の保留が進んだことから前年同期12
.0%減の15万7千トンとなったものの、豪州では、牛群立て直しのための保留の
動きが一段落し、供給能力が上昇したことから、前年同期を9.6%上回る18万2千
トンとなった。また、カナダでは、アルバータ州など西部地域での処理能力の拡
大を背景に、生体から牛肉へと米国向け輸出の形態が移行しつつある傾向を反映
して、前年同期11.6%増の20万1千トンと、豪州を抜いて最大の供給国となった。
さらに、南米では、ブラジルが通貨レアルの切り下げに伴い加熱処理済み牛肉の
輸出を伸ばし、前年同期比61.4%増の4万5千トンとなったことに加え、アルゼン
チンは、対照的に加熱処理済み牛肉の輸出が減ったものの、約2万7千トン(製品
重量ベース2万トンを枝肉換算)の関税割当枠を早期に消化したことから、前年
同期比54.5%増の3万7千トンと大幅に増加した。

◇図:上半期の牛肉輸入量◇


99年は輸出入とも増加の見込み

 USDAでは、99年通年の輸出について、メキシコ向けがアンチ・ダンピング税
の賦課に伴い減少するものの、他の主要国向けは下半期も増加が見込まれるこ
とから、前年比10.3%増の108万6千トンに達すると見込んでいる。また、輸入に
ついては、豪州およびカナダからの供給が今後鈍化するものの、99年通年では、
前年比2.7%増の123万トンとなるとみている。なお、2000年について、輸入は引
き続き増加する一方、輸出は国内供給の減少に伴う価格の上昇から減少に転じる
とUSDAは見通している。

◇図:牛肉輸出入量の推移◇

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