タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○7月の鶏肉輸出はかなりの減少


冷凍鶏肉、鶏肉調製品ともかなりの減少

 タイブロイラー加工輸出業者協会の取りまとめた99年7月の鶏肉輸出(速報値)
は、冷凍鶏肉の数量が前年同月比9.8%減の1万8千トン、金額が18.8%減の12億2
千万バーツ(1バーツ=約2.9円)、鶏肉調製品の数量が10.8%減の5千トン、金
額が15.5%減の7億2千万バーツで、合計では数量が9.8%減の2万3千トン、金額が
17.6%減の19億4千万バーツとなり、かなりの減少となった。

 鶏肉の輸出量は、6月も冷凍鶏肉で前年同月比6.9%、鶏肉調製品で15.2%と減
少しており、2ヵ月連続の減少となっている。また、冷凍鶏肉、鶏肉調製品とも
に輸出金額の下落幅が輸出量の下落幅を大きく上回っており、バーツベースでの
輸出価格の低迷がうかがえる。


東南アジア向けが急増、日本向けは大幅に減少

 これを地域別に見ると、アジア地域向けは、マレーシアで発生した豚を媒介と
する伝染病の影響により、需要が豚肉から鶏肉へ移動したため、マレーシア向け
と、同国から鶏肉を輸入していたシンガポール向けの冷凍鶏肉の輸出量が、それ
ぞれ約2倍の823トンと3倍の920トンに急増したものの、日本向けが17.2%減の1
万3百トン、中国向けが51.3%減の293トンと大幅に減少した。この結果、地域全
体では、8.2%減の1万3千トンとかなりの減少となっている。また、鶏肉調製品
は、シンガポールが前年比56倍の450トンと大幅な増加を示したものの、日本向
けが23.3%減の2千9百トンと大幅に減少したことから、地域全体で、12.3%減の
3千4百トンとかなりの減少となっている。

 一方、EU地域向けでは、冷凍鶏肉が11.2%減の4千5百トンとなった。また、鶏
肉調製品は7.6%減の1千7百トンとなっており、ヨーロッパ地域全体の合計で10.3
%減の6千2百トンとなっている。これは、ベルギーにおけるダイオキシン混入問
題で、EU地域全体での鶏肉の需要が減退していることが、大きな要因となってい
ると同協会では分析している。また、鶏肉調製品の減少幅が冷凍鶏肉に比べて少
ないのは、鶏肉調製品のイギリス向け輸出が29.8%増の735トンと好調であるた
めで、特にむね肉にチーズをはさんでフライにした製品が、スーパーマーケット
などからの引き合いが強く、よく売れているとしている。


今年の輸出見込みは年当初と同じ

 99年通年の輸出量について、同協会では、冷凍鶏肉が前年比9.4%の減少、鶏
肉調製品が14.9%の増加と見込んでおり、合計で4.2%の減少となるものと予測
している。これについて同協会では、98年において増産を行った会員は、昨年と
ほぼ同じ程度の生産を行っているものの、増産を行うことができなかった会員に
ついては、減産に移行する動きが見られること、その一方で、鶏肉調製品の輸出
先としてイギリスとシンガポールが好調であること、各会員の危害分析重要管理
点監視方式(HACCP)対応が完了し、衛生面での国際競争力がついたことなどを
要因に挙げており、この結果、現在においても99年の輸出量を約27万トンとし、
年当初の予想を変えていない。

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