米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○大きく減少した上半期の鶏肉輸出


ロシア向け大幅減が主因

 米農務省(USDA)によると、99年上半期(1〜6月)の鶏肉輸出量(可食処理
ベース)は、約1百万トンと前年同期を14.6%下回った。この減少は、ロシア向
けが、8万9千トンと前年同期を81.2%下回ったことによる。ロシアは、94年以降
最大の仕向け先となり、最盛期の97年には米国からの輸出量の44%のシェアを誇
っていた。しかし、同国経済の混乱から、98年9月以降輸出量は急減し、現在も
極めて低水準で推移している。ロシアに対しては、直接輸出されるほかにもバル
ト諸国などの旧ソ連諸国を経由して米国産鶏肉が供給されているとみられており、
ラトビア向けが前年同期比2.3倍、エストニア向けが同3.6倍と大幅な伸びを示し
た。しかし、これら近隣諸国向けの輸出量を加えた旧ソ連向け輸出量でも、前年
同期の5割程度にとどまった。

◇図:上半期の鶏肉輸出量◇

◇図:上半期の旧ソ連向け鶏肉輸出量◇


アジア向けは総じて好調

 一方、アジア向け輸出は、日本向けが5万1千トンと前年同期を2.8%下回った
ものの、総じて好調であった。中でも、香港向けは、前年同期比46.7%増の28万
1千トンと、ロシアを抜いて最大の仕向け先となった。また、韓国およびフィリ
ピン向けは、経済の回復に伴う旺盛な需要が追い風となって、前年同期に比して
10倍程度の輸出量を記録した。北米市場では、メキシコ向けが前年同期比2.3%
増の6万3千トン、カナダ向けが同2.0%増の2万8千トンと、いずれも前年をわずか
に上回る結果となった。


99年は15年ぶりに前年を下回る見込み

 米国の鶏肉輸出は、インテグレーションによる効率的な生産と豊富な飼料穀物
を背景とした価格競争力を武器に、90年代に入り前年比10%を超える高い伸びを
続けてきた。近年、その伸びは急激に鈍化しているものの、98年までは増加傾向
を堅持してきた。しかし、USDAでは、99年通年の輸出量は、ロシア向けの大幅
減が足かせとなって、前年比1.3%減の209万トンと15年ぶりに前年を下回り、20
00年も減少傾向は継続すると見込んでいる。

◇図:鶏肉輸出量の推移◇

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