NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○総じて良好な酪農経営


為替相場や輸出販売戦略が乳価上昇に反映

 98/99年度(6〜5月)における各乳業メーカー(酪農協の1部門)の生産者支
払乳価が出そろい、8社すべての乳価が前年度水準を上回ることとなった。生産
者支払乳価は、ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)の定める基本乳
価に、それぞれの経営実績などに応じた利益還元分(メーカープレミアム)を加
えたもので、各メーカーの経営状況によって異なる。98/99年度のNZDBの基本
乳価は、前年度を8.3%上回る乳固形分1kg当たり3.25NZドル(約198円:1NZドル
=61円)と、乳製品の国際市況が弱含みで推移する中、為替相場や輸出先のニー
ズをうまく捕えた販売戦略による売上増が反映される形となった。


生産者乳価、7年連続でトップはタトゥア

 全メーカー中、最高乳価となったのはタトゥアの4.065NZドル(約248円)/kg
で、他に比べ比較的小規模ながらも92/93年度以来7年連続の首位を維持した。
関係者によると、新商品の開発などの技術革新を促進したことが奏功したとして
いる。続く第2位、第3位は、前年度同様ウェストランド、国内最大手のNZDGで、
それぞれ3.78NZドル(約231円)/kg、3.63(約221円)NZドル/kgとなった。各
メーカーとも、98/99年度は干ばつなどの悪天候の影響を受け、組合員からの集
荷乳量が落ち込んだものの、不採算工場を閉鎖するなど経営の再編・合理化を進
めた結果、生産性の向上により利益を得ることができたとしている。

表1 乳業メーカー(酪農協)別の生産者支払乳価
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 資料:「New Zealand Dairy Exporter」
  注:乳固形分換算1kg当たりの価格


酪農経営の収益性が向上

 98/99年度の酪農経営は、前年度水準を上回る乳価により、所属する酪農協に
より差はあるものの、収益性の改善が見られる。業界紙によると、ノースランド
では、98/99年度の生産者支払乳価が、前年度を20NZセント(約12円)/kg上昇
したことにより、組合員の収入は、平均で8千NZドル(約49万円)増加したと報
じられている。

 NZ農林省(MAF)によると、全国128戸の酪農家を対象に行った98/99年度の
経営状況調査で、現金収入は、1戸当たり平均28万NZドル(約1千7百万円)であ
った。98/99年度の可処分所得からランク付けされた上位25%と下位25%を比較
すると、上位クラスは、下位の2倍以上の収入がある。これは、上位クラスの方
が、経産牛の飼養頭数や1頭当たり乳量が多いためであるが、1頭当たりの現金支
出を比べると、わずかに下位クラスの支出が多い。また、下位クラスは上位クラ
スよりも農業外収入が多いことも示された。この結果から、MAFの担当者は、経
営の大規模化ならびに乳牛1頭当たりの能力を高めることが高収益へのカギとし
ている。

表2 98/99年度の酪農経営状況
mi-nz06.gif (3942 バイト)
 資料:ZNMAF調べ
  注:全国から抽出した128戸の酪農家の可処分所得によるランクづけ

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