夏収穫食糧、史上2位の豊作(中国)


気候条件回復で単収が増加

 中国国家統計局はこのほど、99年の夏収穫食糧(穀物、イモ類、豆類)の生産
状況をとりまとめた。これによると、99年の夏収穫食糧の生産量は、前年を527
万トン上回る1億1,849万トン(4.7%増)となった。国家統計局は、今年の夏収穫
食糧は史上2位の収穫量であるとしている。しかし、昨年秋から今年の冬にかけ
ての干ばつと食糧流通改革の影響から、夏収穫食糧の作付面積は、昨年より78万
ヘクタール少ない3,106万ヘクタール(2.4%減)であった。作付面積が減少した
にもかかわらず収穫量が増加したことについて、専門家は、気候条件が回復し、
特に作物の生長後期が好天で単収が増加したためと分析している。今年上半期の
1ヘクタール当たりの単収は、昨年より25.5kg多い381kg(7.0%増)となった。

 なお、夏収穫食糧は、一般に年間の食糧生産の約25%前後を占めると言われて
おり、小麦や早稲が中心である。


上半期の穀物貿易、輸出入量とも大きく減少

 農業部(農業省に相当)の発表によると、中国の今年上半期の穀物輸出量は23
3万トンで前年比41%減、同じく輸入量も、国内の穀物生産が良好であったこと
から前年比15%減の294万トンであった。また、農産物の輸出金額は61億7千万ド
ル(約7千億円:1ドル=114.5円)で2.5%の減となった。しかし、農産物の輸入
金額については為替の関係等から逆に3.6%増の38億3千万ドル(約4千2百億円)
となり、上半期は23億4千万ドル(約2千8百億円)の黒字にとどまった。「海関
統計」月報によると、中国の主要な穀物貿易品目の1つであるトウモロコシにつ
いては、今年上半期の輸出が前年比58%減の101万トン、輸入が73%減の2万トン
となっている。


飼料用穀物の需要はさらに伸びを予想

 中国では経済成長に伴い、80年代半ばから国民の食料消費が多様化し、都市部
だけでなく農村部においても、食肉消費が伸びる一方で、食用穀物の消費が減少
するという傾向を見せている。このような食肉消費の増加は、飼料用穀物の需要
増加につながり、特に南部の稲作地帯においては、80年代半ば以降の畜産の振興
に伴い、稲作と飼料用穀物の供給不均衡を招いている。この地帯の15の省、直轄
市、自治区では、いずれも飼料不足に直面し、過剰気味の食用穀物と不足する飼
料用穀物の需給ギャップは深刻になっているという。

 現在、中国の全穀物生産量に占める飼料用穀物の割合は約3分の1で、世界平均
の42.9%を下回っている。しかし、これまで都市部に比べて食肉消費水準の低か
った農村部では、今後さらに飼料用穀物への需要が高まるものと予想されている。
こうした問題を解決するため、政府は、穀物節約型の畜産振興の方針を打ち出す
一方、飼料の主原料であるトウモロコシの増産を図っている。同時に政府は、わ
らの微生物発酵による飼料化や家畜の草食飼養の奨励、飼料効率の高い家畜や家
きんの選択的な飼養などの施策を講じている。

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