◇絵でみる需給動向◇
98/99年度(6月〜5月、以下同じ)は、春季の記録的な降雨や夏季の干ばつな ど酪農地帯を中心に国内全域が悪天候に見舞われ、生乳生産(乳固形分ベース) が前年度を4.6%下回る84万9千トンと95/96年度以来の低水準となった。そのた め、生乳生産の95%が仕向けられる乳製品の生産量も、総じて前年水準を下回る とみられている。 ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)によると、98年6月〜99年4月 の11ヵ月間で、チーズ生産量は前年同期を22.9%下回る21万トンとなり、主要な 乳製品の中で減少率が最も大きくなった。また、バターが前年同期を15.2%下回 る31万2千トン、全粉乳が前年同期を14.7%下回る32万8千トンとなるなど、前年 水準を大幅に下回っている。一方、同期間の脱脂粉乳生産量は、前年同期を10.0 %上回る19万2千トンとなった。 主要乳製品の生産量 資料:NZDB 注:98/99年度は98年6月〜99年4月の11ヶ月 ( )は前年同期比
NZでは、乳製品生産の9割以上が輸出に仕向けられることから、98/99年度の 乳製品の輸出量は、生産量同様前年水準を下回ると見込まれている。NZDBによる と、98/99年度は、近年順調な伸びを示すチーズ輸出が前年度水準の24万トンと なる以外、すべての乳製品の輸出が前年度を3〜5%程度下回るとみられている。 需要サイドでは、世界有数の乳製品輸入国である東南アジア諸国、ロシア、ブ ラジルなどで経済情勢が不安定であったことから、NZ産乳製品に対する需要はい まだ回復しておらず、不況を反映し付加価値商品からバルク商品へとより安価な 品物へ需要を切り替える国も現れたとされている。 こうした状況にもかかわらず、NZDBの98/99年度輸出総額は、46億2千5百万 NZドル(約3千億円:1NZドル=65円)と最高水準に達し、消費者ニーズを捉え た商品販売が功を奏したとみられている。 ◇図:主要乳製品輸出量の推移◇
99/2000年度は、気候が比較的穏やかに推移し、牧草の生育状態も前年度に 比べ良好であることが伝えられている。NZDBでは、同年度の生乳生産量(乳固 形分ベース)について前年度を7.7%上回る91万4千トン程度と見込んでおり、 乳製品の生産もすべての品目で前年水準を上回るとみている。しかし、輸出に ついては、チーズおよび粉乳の海外市場をめぐり、他の輸出国と競争が激化す ることから、98/99年度水準を下回ると予測している。
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