タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○99年後半にひな価格が暴落


5年ぶりの安値を記録

 タイ農業協同組合省が発表した99年11月のブロイラーひな価格は、1羽当たり
3.24バーツ(1バーツ=約2.8円)で、前年比74.2%安と大幅に下落した。ブロイ
ラーひなの価格は、98年5月に1羽当たり6.17バーツと、96年12月(5.84バーツ)
以来の安値をつけた。しかし、6月以降上昇に転じ、11月には12.54バーツと6ヵ
月で約2倍の値動きとなった。99年に入ると、1羽当たり10〜12バーツで比較的安
定して推移していたものの、4月以降徐々に上昇傾向が見られ、8月には13.36バー
ツのピークに達した。その後、ひな価格は急落に転じ、わずか3ヵ月で約75%安
の暴落となり、94年6月(3.06バーツ)以来、5年ぶりの安値となった。

 一方、ふ化羽数を見ると、価格が高水準で推移した98年10月の約7千万羽を境
に増加傾向に転じた。99年に入っても、引き続き増加傾向で推移したふ化羽数は、
5月に約8千万羽に達し、99年7月以降、前年をやや上回る水準で推移したものの、
全体的には7千5百万羽から8千万羽程度で安定的に推移しており、98年前半の8千
5百万羽を上回るような生産過剰などの状況は見られていない。

 しかし、バンコク市場における生体の卸売価格は、99年7月の1kg当たり32.0バ
ーツをピークに、9月には前年比41.7%安の20.7バーツまで暴落した。この卸売価
格の暴落が養鶏農家の生産意欲を減退させ、ひな価格の暴落を招いたものとみら
れている。業界によると、暴落の原因は、昨年マレーシアにおいて発生したウイ
ルス性脳炎の影響により、マレーシア向け輸出の増加を期待していたものの、期
待されたほどの増加が見られなかったことから、国内市場に供給過剰感が生じた
ためとされている。

 なお、生きた鶏の卸売価格が、1月には25.5バーツ(速報値)にまで上昇して
いることもあり、ひな価格についても、チャロン・ポカパン(CP)の公表価格で、
99年11月に7.75バーツであったものが、1月には10バーツにまで上昇するなど、
2000年に入ってから回復の兆しを見せている。

◇図:ひなのふ化羽数と価格の推移◇


安定的に推移する小売価格

 大幅な価格の変動が見られている中抜きの鶏肉卸売価格に対して、バンコク市

場における小売価格は、かなり安定的に推移している。
 99年9月に前年比33%安の29.84バーツとなった卸売価格は、生きた鶏の卸売価
格の上昇に伴って値を戻しており、2000年1月には、前年比5.4%安の35バーツ
(速報値)まで回復している。

 一方、小売価格は、99年2月における前年比5%高の1kg当たり52.17バーツをピ
ークに、その後は緩やかに低下傾向をたどり、11月も前年比2.8%安の49.0バーツ
までしか下落していない。この結果、99年1〜11月までの平均小売価格は、前年
比1.5%高の50.29バーツとほぼ前年並みとなった。

◇図:タイにおける鶏肉価格の推移(バンコク市場)◇

元のページに戻る