米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○食肉間の競合激化の中、ブロイラー消費が顕著な伸び


 米農務省(USDA)は、2月24〜25日に開催された「農業観測会議」において、
2009年までの農業全般の需給に関する長期見通しを公表した。ブロイラー需給に
関する概要は、以下の通りである(策定に当たっての前提条件等については、44
ページ参照)。

ブロイラー需給の長期見通し
br-us05.gif (4640 バイト) 
 資料:USDA「Agricultural Baseline Projections to 2009」
 注1:数量は可食処理ベース
  2:99年は見込み値、2000年以降は予測値


1人当たり消費が牛肉を抜いて首位に

 国内市場では、好調な経済状況を反映して所得が増加し、実質的な食肉価格の
低下が見込まれることから、消費者の購買量の増加が見通される。いずれの食肉
も、新製品の開発や、広報・宣伝活動などを通じて、業界がシェア拡大にしのぎ
を削っている。こうした中にあって、ブロイラーは、他の食肉に比べて相対的に
安価であること、業界による積極的な市場開発や、「脂肪分が少なく、簡便であ
る」をうたい文句にしたイメージ戦略が奏効していることなどから、その消費は、
今回の見通し期間を通して、量、金額ともに他の食肉に比べて著しい伸びを示す
とみられる。この結果、1人当たり消費量(骨なし重量べース)は、2001年に牛
肉を抜き、食肉消費全体に占める割合は、2009年には40%近くまで拡大すると見
通される。

◇図:1人当たり食肉消費量の見通し◇


消費拡大に伴い生産が増加、インテグレーションの進展も継続

 このように順調な消費の拡大に支えられ、ブロイラー生産量(可食処理ベース)
も、引き続き増加し、98年の1,250万トンから2009年には1,779万トンに達するこ
とが予想される。ブロイラー業界は他の食肉と比べて最もインテグレーションが
進んでいるが、今回の見通し期間中もインテグレーションの動きは一層進展する
とみられる。この結果、スケールメリットの拡大や生産管理技術の向上などによ
り、生産コストの増加は物価上昇率を下回ると見込まれる。

◇図:ブロイラー生産および輸出の見通し◇


輸出は緩やかに増加

 一方、輸出量は、アジア向けの回復などで2000年以降は前年を上回って推移す
ると予想される。しかし、増加のペースは、他の輸出国との競争の激化が見込ま
れることなどから、前回より若干下方修正され、2009年の輸出量は280万トンに
とどまるとみられる。

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