中国の家きん肉産業、業界は将来性を楽観


急成長の反動により価格が低下

 中国の家きん肉産業は、85年ころから急激な発展を遂げ、87年には、ブラジル
を抜いて米国に次ぐ世界第2位の家きん肉生産国となった。その生産シェアも、
85年には全世界の5%程度であったが、現在では約2割を占めるまでとなっている。

 中国の家きん肉産業が急成長を遂げた背景には、80年代半ばからの開放政策を
機に、中国への外資導入が活発化したことや、企業設立に対し税制面でも優遇措
置がとられたこと、そして経済成長に伴い、かつては高価な食材とされた鶏肉に、
食肉の需要が豚肉から一部シフトしてきていることなどがあると言われている。
しかし、その生産増加があまりにも急激であったため、その反動で98年11月以降、
家きん肉の価格は全体的に下降傾向となり、99年2月以降は前年の水準を下回っ
て推移している。(本誌99年9月号中国トピックス参照)。

◇図:自由市場におけるブロイラー小売価格◇


労働コストの安さが強み

 米農務省(USDA)によると、99年における中国の家きん肉の生産量(可食ベ
ース、骨付き)は前年比1.9%増の約1,090万トン(暫定値)、そして2000年は2.0
%増の約1,112万トンに達すると予測されている。しかし、一方では、中国の家
きん肉産業は、米国、ブラジルなどの主要生産国との輸出競争において、それほ
ど有利な状況にはないともいわれる。「中国畜牧水産報」によると、99年に米中
両国のブロイラーに関する飼料価格や素びな価格、ブロイラーの生産費、飼料と
ブロイラー肉の価格比などの指標を比較したところ、中国が有利なのは「労働力
が安い」という1項目だけであったという。このため、一部には、今後大きな状
況変化がない限り、中国の家きん肉産業は、数年後には存在していないだろうと
まで警告する研究者もいるという。

家きん肉産業関係者は将来を楽観

 こうした一方で、山東省など主要な家きん生産省では、省政府、生産者とも、
これまでのような急速な発展はないものの、生産の集約化・企業化などが進み、
今後も発展を続けていくとの見方をしている。これらの背景には、@中国の家き
ん肉市場が巨大で、かつ、その潜在力が大きいこと、A地理的にも有利な日本な
どアジア向け輸出が回復基調にあること、B近い将来予測される世界貿易機関
(WTO)への加盟により、中国は国際市場のさらなる開拓が可能になるとの見方
があること、C労働コストが安い上に、中国はトウモロコシの大生産国であり、
飼料コストなどを含め、今後さらなるコスト削減を図ることが可能であること、
D生産資材の多くを国内で賄うことができることなどがあるとされる。

 このように、中国の業界関係者などは、WTO加盟後も同国の家きん肉産業はそ
の競争力を保ち、今後し烈な国内外市場の競争を経てさらなる発展を遂げるとし
ており、家きん肉産業の将来性について明るい期待感を持っている。

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