養豚農家戸数、口蹄疫発生後初めて増加(台湾)


養豚農家戸数はわずかに増加

 先ごろ、行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)から発表された99年11
月末現在の豚の飼養動向調査報告によると、台湾の養豚農家戸数は、前年比6.2
%減の16,016戸で、口蹄疫発生(97年3月)直前の96年11月末の調査に比べ、
36.8%の減少となった。しかし、前回調査(99年5月末)と比較すると1.2%増と
なり、口蹄疫発生後、養豚農家戸数は初めて増加に転じたことになる。

◇図:養豚農家戸数の推移◇


高豚価に刺激され、平均飼養頭数は引き続き増加

 台湾では、口蹄疫発生後、豚肉の需給バランスと環境の保持のため、競争力の
弱い養豚農家を中心に、政府が離農を奨励してきた。しかしその一方で、5千元
台(1元=約3.59円)以上の高値で推移する豚価を背景に、養豚業への参入や、
比較的規模の大きい養豚農家を中心に増頭(前回比6.6%増)が進んだ(本誌3月
号台湾トピックス参照)。これにより、99年11月末における養豚農家1戸当たり
の平均飼養頭数は、前回調査時に比べ23頭(5.4%)増の452頭となり、前々回調
査(98年11月末)、前回調査に引き続き増加した。

養豚産業の大規模化が進展

 飼養規模別の養豚農家戸数を見ると、飼養頭数が99頭以下の小規模農家は徐々
に減少する傾向にあり、99年11月末では、前回調査に比べ戸数にして4.6%減と
なった。これに対し、100頭規模以上の養豚農家戸数はいずれも増加しており、
特に1,000頭規模以上の大規模農家は、平均1割以上の伸びとなった。

 各階層ごとの養豚農家全体に占める割合で見ても、同様の傾向がうかがえる。
99頭規模以下の小規模農家が、前回比3.2%減の46.9%となる一方で、100〜999頭
の中規模農家は41.6%(1.7%増)、1,000頭規模以上の大規模農家は11.5%(1.1
%増)となり、特に1,000〜4,999頭規模の養豚農家の割合が初めて10%台に乗っ
た。

 口蹄疫による打撃を受けて以降、飼養頭数、農家戸数ともに回復基調にある中
で、99頭規模以下の小規模な庭先養豚的な農家が減少し、100頭規模以上の養豚
農家、特に価格競争で有利とされる1,000頭規模以上の企業養豚的な農家がかなり
増加したことは、今後、世界貿易機関(WTO)への加入を目指す台湾で、政府に
よる構造調整政策がさらに進展していることをうかがわせる。

◇図:規模別養豚農家の割合◇


強まる現状維持志向

 今回の飼養動向調査と併せ、飼養頭数100頭以上の養豚農家を対象に、今後の
飼養規模に関する意向調査も行われた。この調査報告によると、8,227戸のサン
プル農家のうち、85%(前回調査時81%)の養豚農家が現在の飼養規模の維持
を希望する一方、規模拡大を希望する養豚農家は12%(同14%)、そして規模
縮小を考える養豚農家は3%(同5%)と、いずれも前回調査時より減少した。

 これについて行政院農業委員会は、高値で推移する豚価に刺激され、一部の養
豚農家がさらなる利潤を求めて規模を拡大しようとする状況は前回調査時と同じ
だが、99年8月半ば以降、それまで100kg当たり6千元台後半〜7千元台で推移して
いた豚価が5千元台に下落した影響から、全体に規模を維持して模様眺めをする
傾向が強まったことが背景にあるとしている。なお、最近の豚価は、頭数の増加
による供給過剰などから、2000年2月半ば以降、100kg当たり4千元台へと下落し
ている。

規模別養豚農家戸数
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 資料:行政院農業委員会「台湾地区養猪頭数調査報告」
  注:( )内は99年5月末との比較

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