USDA、2001年度予算案を発表(米国)


予算総額は約7兆2千億円

 米農務省(USDA)は2月7日、2001年度(2000年10月〜2001年9月)の予算案を
発表した。予算総額は650億ドル(7兆2千億円:1ドル=110円)と、87億ドル
(9,570億円)に上る緊急農家支援対策により増額された2000年度予算支出見込額
に比べ9%の減少となっている。ただし、緊急農家支援対策を除いた通常予算ベー
スでは増額となっている。


所得支持対策などを拡充、加工原料乳価格支持制度の延長も

 予算案に示された主な対策は、以下の通りである。

 第1に、農家所得支持対策として、2000および2001作物年度における新規重点
事業として、補助的所得支援事業(Supplementary Income Assistance Program:
SIAP)が提案されている。本事業は、小麦、飼料穀物、米、綿花および油糧種子
を生産する有資格農家に対して、補助的な所得支持を行う事業である。具体的に
は、政府補助を含む全国的な推定粗所得が過去5年間の平均の92%を下回った場
合に、有資格農家に対して補助的な助成金が交付されるという事業である。補助
金の交付は作物ごとに行われ、かつ、過去の作物生産面積ではなく農家の現在の
生産に基づいてなされるため、96年農業法の欠点が克服されるとしている。本事
業の予算額は2000年度および2001年度合計で31億ドル(3千4百億円)となってい
る。補助金交付額の上限は、1人当たり3万ドル(330万円)とされており、生産
柔軟化契約(Production Flexibility Contract)に基づく直接支払いの対象者
の場合、その交付額が上限から差し引かれる。

 また、農家所得支持関連対策として、加工原料乳価格支持制度について、現行
の生乳100ポンド当たり9.9ドル(23.7円/kg)の価格支持水準で、本制度を2002
年まで延長する措置が提案されている。本措置には、2001年および2002年の2年
間で1億5千万ドル(165億円)の予算が必要になるとしている。

 第2に、環境保全対策として、新たに13億ドル(1千4百億円)の予算増額を提
案している(詳細は本誌2000年3月号「トピックス」参照)。

 第3に、リスク管理対策として、99および2000作物年度に実施された複合危害
作物保険(MPCI)による追加保証の保険料補助率の引き上げについて、これを
2001作物年度まで延長することが提案されている。予算要求額は6億4千万ドル
(704億円)である。

 また、現在、作物保険制度の下ではカバーされていない畜産収入を保証する
パイロット事業が提案されている。これは、酪農オプション・パイロット事業
(DOPP)に類似した事業になるとしている。予算要求額は1億ドル(110億円)
である。

 以上のほか、食品安全性確保対策の増額などが提案されている。

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