NCBA、年次総会で今後の運動方針を決定(米国)


パッカーの肉用牛所有制限には反対

 全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、1月末にアリゾナ州フェニックスで年
次総会を開催し、今後の政策案件などについての運動方針を決定した。

 この中で、ネブラスカ州選出上院議員などから提案されている食肉処理加工業
者(パッカー)による肉用牛の所有制限の法制化については、長時間の議論の末、
これを支持しないことが決定された。

 会議では、パッカーの肉用牛所有が進んだ場合、肥育牛の価格情報が不足する
ことにより、適正な価格形成が妨げられるなどの理由から、この提案を支持する
意見が出された一方で、@連邦政府の関与を許すこと自体が好ましいものではな
い、A生産者組織によるパッカーの経営に影響を及ぼす可能性がある、B繁殖、
育成農家による肥育素牛の販売オプションが減るなどの反対意見が述べられた。

 パッカーの肉用牛所有を制限する法案は、今後の議会において活発に議論され
るとみられてきたが、全米の肉牛生産者を代表するNCBAの今回の決定によって
法制化への勢いが急速に衰えるとの見方も出されている。


牛肉輸出を強力に推進

 一方、貿易問題については、世界貿易機関(WTO)の新ラウンド交渉に積極的
に関与していくことが決定された。特に、米国に対して工業製品の輸出で大きな
黒字を抱える国々については、2国間協議により大幅なアクセスを得られるよう
米国政府に働きかけていくとしている。

 米国産ホルモン使用牛肉に関するEUの輸入禁止措置については、問題の解決を
図るため、効果的な報復措置やWTOでの適切な措置の実施に向けて、引き続き米
国政府関係者と協力していくことが確認された。

 このほか、家畜生産者がすべての連邦災害救済計画の対象となるよう必要な手
段を講じていくこと、牛肉の安全性を高めるための腸管出血性大腸菌O157に関
する疫学調査の実施や、食肉製品への栄養表示に関する自主的な取り組みをサポ
ートしていくことなども決定された。


組織改革も議論

 今回の総会では、昨年スワン前会長が任命した16人のメンバーからなるブルー
リボン委員会が提出したNCBAの組織改革に関する提案も議論された。この中で
は、@投票権のある委員会メンバー数の削減(361から238へ。なお、実際の削減
数は、これより少なくなるものとみられる)、A個人会費の値上げ(60ドル(約
6,600円:1ドル=110円)から70ドル(約7,700円)へ)、B州牛肉委員会連合会
などの副委員長ポストの廃止、Cチェックオフ関連部門の名称変更などが合意さ
れた。

 一方、NCBAを生産者の意見がより反映される組織とするため、政策部門での
投票資格を肉用牛生産者に限定することが提案されたものの、これについては実
現に至らなかった。

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