米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○過去最高となった上半期の牛肉生産


未経産牛の増加が顕著

 米農務省(USDA)によると、2000年上半期(1〜6月)の牛肉生産量(枝肉重
量ベース)は、前年同期比2.4%増の605万トンと過去最高を記録した。牛の飼養
基盤が縮小する中、生産が高水準となった最大の要因としては、と畜頭数の増加
が挙げられる。上半期のと畜頭数は、前年割れとなった経産牛を除くすべてのカ
テゴリーで前年を上回り、前年同期比1.6%増の1,820万頭となった。中でも、全
体の3割を占める未経産牛のと畜は、前年同期比3.0%増の610万頭と増加が際立
った。

◇図:種類別と畜頭数の増減率◇


枝肉の大型化も増産の一因

 一方、枝肉重量の増加も、記録的な増産の一因となっている。牛肉の需要は、
好景気を追い風として依然堅調に推移しており、特に、ホテル・レストラン部門
や輸出市場を中心に、チョイス級以上の高級牛肉に対する需要が極めて旺盛であ
る。こうした需要を反映して、フィードロットで肥育期間が長期化するとともに、
重量級の肥育素牛の導入が増加していることから、枝肉重量は99年11月以降前年
を上回って推移し、今年上半期では前年同期比0.7%増の335kgとなった。


2000年通年では微減の見込み

 今後の見通しについて、USDAでは、更新用未経産牛の保留が今夏には始まる
ため牛肉生産は秋以降減少に転じ、2000年通年では前年比0.5%減の1,191万トン
と前年をわずかに下回ると見ている。また、2001年については、経産牛のと畜が
依然低水準であるとともに、肥育牛の出荷が減少するため、前年比4.4%減の1,1
39万トンと、さらなる減産を見込んでいる。USDAの見通しは、繁殖経営の収益
が99年に黒字転換して以来良好であること、牛肉の需要が好調であることなどか
ら、牛群再構築の条件は整ったという前提に基づいている。これに対し、南西部
などの主産地で降雨不足により牧草の生育状況が良くないうえ、肥育素牛価格が
需要増を反映して高水準で推移していることから、未経産牛は当面、更新用には
保留されず肥育に仕向けられ、牛群の再構築は遅れるという見方もある。いずれ
にせよ、関係者の間では、7月に公表される牛の飼養動向調査の結果が今後の生
産を占う重要なカギになるとみられている。

◇図:牛肉生産量の推移◇

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