米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○伸びが鈍化した上半期のブロイラー生産


2.0%にとどまった伸び率

 米農務省(USDA)によると、2000年上半期(1〜6月)のブロイラー生産量
(可食処理ベース)は、前年同期比2.0%増の689万トンとなった。ブロイラー生
産量は、消費者の健康志向、外食産業の成長、もも肉を中心とした輸出の急激な
拡大などを背景に一貫して増加を続けてきた。中でも99年は、ブロイラー卸売価
格が低下傾向で推移したものの、トウモロコシなどの穀物価格の低迷に伴う生産
コストの低下により高収益が確保されたことから、前年比6.7%増の1,349万トン
と大幅な増産となった。しかし、今年に入ると、半年間で3ヵ月が前年割れとな
り、上半期では小幅な伸びにとどまる結果となった。


収益性の悪化が増産にブレーキ

 増産の勢いが急激に弱まった最大の要因は、生産コストの上昇による収益の悪
化とみられる。生産コストは、大豆ミール価格の高騰から飼料費が上昇したこと
に加え、原油価格の値上がりで加工処理費や輸送費が増大したため、今年3月以
降、前年を3%前後上回っている。これに対し、ブロイラー卸売価格(12都市平
均丸どり価格)は、牛肉など他の食肉との競合が激化していること、輸出価格が
低下傾向であることなどから、今年1〜6月では前年を5.4%下回る55.1セント/ポ
ンド(130円/kg)と低迷している。このため、上半期におけるブロイラー生産
加工業者の純収益(丸どり1ポンド当たり:可食処理ベース)は、前年同期比34
.3%安の7.95セント(18円/kg)まで落ち込みを見せた。

◇図:ブロイラーの生産コストおよび純収益◇


2000年通年では4%増の見込み

 このように、上半期は伸び悩んだものの、下半期については、種鶏羽数やひな
ふ化羽数が前年水準を上回って推移していることなどから、生産は持ち直すとみ
られる。このため、USDAは、2000年通年のブロイラー生産量は1,406万トンと、
99年の伸びには及ばないものの前年を4.2%上回り、過去最高を更新すると見て
いる。また、2001年についても1,474万トンと、前年並みの4.8%の伸び率を見込
んでいる。

◇図:ブロイラーの生産量の推移◇

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