米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○低迷する生乳価格


上半期の価格は前年比17%安

 米農務省(USDA)によると、2000年上半期(1〜6月)の生乳農家販売価格
(飲用向け乳価と加工原料向け乳価の加重平均)は、99年12月の急落以降低迷が
続いたことから、前年同期比17.8%安の11.97ドル/100ポンド(28円/kg:1ドル
=107円)となった。また、上半期の乳製品卸売価格も、バターが前年同期比17
.3%安の106.8セント/ポンド(252円/kg)、チェダーチーズが17.5%安の113.3
セント/ポンド(267円/kg)、脱脂粉乳が1.1%安の100.2セント/ポンド(236
円/kg)と低下が目立っている(左図参照)。

低迷の主因は供給過剰

 生乳価格に回復の兆しが見えないのは、生乳の供給過剰によるところが大きい。
主要21州の経産牛頭数は、98〜99年にかけての高収益を背景に新規参入や規模を
拡大した生産者が多かったため、99年3月以降前年を上回って推移している。ま
た、1頭当たり乳量も、トウモロコシ価格などの低迷で穀物飼料が多給されたこ
とや、良質なアルファルファの供給が潤沢であったことなどから、98年11月以降
3%を超える伸び率で推移している。このため、生乳生産量は今年1〜5月で3,260
万トンと前年同期を4.2%上回る記録的な水準となり、乳製品生産量も10%前後増
加した。こうしたことから、牛乳乳製品の需要は、好景気に伴う所得の増加を反
映し、無脂乳固形分を除いておおむね好調であるものの、生乳の供給がこれを相
殺して余りあるため、生乳および乳製品価格の上昇が阻まれているとみられる。


2000年平均では5年ぶりの13ドル割れか

 今後の見通しについて、USDAでは、夏の天候不順により主産地の粗飼料不足
が伝えられているため、生乳生産の伸びが鈍化するとしている。一方、乳製品の
需要面では、バターなどの乳脂肪が需要期を迎えるほか、2000/01年度の乳製品
輸出奨励計画(DEIP)に基づく割当数量の発表により、国際需給がタイトな脱脂
粉乳を中心に早期の消化が見込まれるなど、依然として堅調な推移が見込まれる
としている。これらの状況から、今年後半の生乳価格は上昇するとしているが、
2000年の平均では、安価な国際市場からのバターの輸入増が見込まれること、脱
脂粉乳をはじめとした無脂乳固形分の国内需要が回復する可能性は小さいことな
どにより、90〜94年の平均をわずかに下回る12.8ドル/100ポンド(30.2円/kg)
と、95年以来5年ぶりに13ドルを割り込み、2001年も前年並みにとどまると見込
まれている。

◇図:生乳農家販売価格の推移◇

DEIPの品目別、地域別割当数量
mi-us05.gif (4974 バイト)
 資料:USDA
 注1:年度は7月〜翌年6月
  2:ガット・ウルグアイラウンドで合意された限度数量が
    100%で割り当てられている

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