EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○EU域内の需給回復に伴い削減される輸出補助金



昨年度の補助金付き輸出は限度数量を上回る69万トンに

 EU委員会は7月5日 、豚肉(冷凍・冷蔵)を対象に、EU域外向けの輸出補助金
をゼロに引き下げた。同委員会は、6月15日に、豚枝肉および豚バラ肉のEU域外
向け輸出、豚部分肉およびハムなど豚肉製品の中東欧向け(一部の国を除く)輸
出に対する輸出補助金を、98年4月以来2年2ヵ月ぶりにゼロへと引き下げたばか
りである。

 昨年度(99年7月〜2000年6月)のEUの補助金付き豚肉輸出量は、ガット・ウル
グアイラウンド(UR)合意に基づく限度数量46万3千トンを大幅に上回る69万ト
ン(限度超過量はこれまでの限度数量未消化分の範囲内で合意違反とはならない)
に達する見込みである。  

 一方、今年度の限度数量は、44万4千トンに設定されているため、7月からの年
度開始に向けて輸出補助金の削減は避けられないものとなっていた。

 豚肉価格が上昇傾向で推移していることから、当面の間、輸出補助金の再開の
可能性は少ないものとみられている。

◇図:豚肉輸出補助金の推移◇


回復基調の域内豚肉価格

 EU15ヵ国平均の豚肉価格は、生産過剰により98年後半から記録的な低水準とな
っていたが、枝肉生産量が99年10月以降前年を下回っていることなどに伴い、こ
こしばらく回復基調で推移している。EU域内の豚枝肉卸売価格は、2000年6月に
ついては前年同月比18.8%高の146.9ユーロ/100kg(約148円/kg:1ユーロ=
101円)となり、12ヵ月連続して前年を上回っている。EU豚肉管理委員会は「EU
域内の豚肉市況はおおむね堅調である」との認識で一致しており、補助金を引き
下げる環境は整っていたと言える。

◇図:豚枝肉卸売価格の推移(EU15カ国平均)◇


中東欧諸国は「ダブル・ゼロ」について合意

 このような中、EUは6月29日、加盟交渉を進めている中東欧諸国(エストニア、
ラトビア、リトアニア、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ルーマ
ニア、スロベニア。ただし、ポーランドを除く。)との間で、農産物の貿易自由
化(輸出入に係る関税、輸出補助金などの相互撤廃、いわゆる「ダブル・ゼロ」)
について合意したことを発表した。国により対象品目が異なるが、2000年7月1日
以降、豚肉、鶏肉、鶏卵、チーズなどが「ダブル・ゼロ」の対象となる。

元のページに戻る