◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)は、10月末、豪州食肉家畜生産者事業団 (MLA)との共同調査による四半期ごとのフィードロット飼養動向を発表した。 これによると、99年9月末時点での飼養頭数は、季節的な要因から前回6月末時点 の調査頭数よりやや減少したものの、前年同期と比べ21.6%増の55万3千頭と依 然として高水準を保った。 MLAは、前回調査時(99年6月)に9月末時点の飼養頭数を55万7千頭と予測 していたが、素牛供給の減少や春先から初夏にかけての牧草状態が例年以上に良 好であることから、飼養頭数は予想をわずかに下回る結果となった。 また、フィードロットの稼働率(収容能力に対する実飼養頭数の割合)につい ては、前年同期を10.5ポイント上回る63.3%であった。 クインズランド(QLD)州などでは、好調な輸出を背景に、操業を停止してい たフィードロットの一部を徐々に再開しつつあり、これに伴い豪州全体の収容能 力も徐々に回復しつつある。 ◇図:フィードロットの飼養状況の推移◇
フィードロット飼養頭数を州別に見ると、ビクトリア(VIC)州やサウスオー ストラリア(SA)州などの南部地域、また、ウエスタンオーストラリア(WA) 州では、夏場の放牧シーズンを控え前回6月末時点よりも大きく減少した。しか し、前年同月との比較ではVIC州がやや減少したのを除き、各州ともに2ケタの伸 びを示している。 最高水準であった前回6月末時点との比較でも、全飼養頭数の約5割を占める QLD州では1.4%、同3割以上を占めるニューサウスウェールズ(NSW)州では2.4 %とわずかながらも増加した。日本向け輸出の回復を背景に、QLD、NSW両州の 頭数は、ここ2、3年の規模から見てもかなりの高水準にある。 州別フィードロット飼養頭数 資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」 注:認定フィードロットのみを対象とし、500頭以下のフィードロットを含む。
ALFAでは、9月末時点の飼養頭数について、ほぼ前回調査時の予測通りであっ たとしつつも、飼料穀物価格が依然として安値で推移していることや、日本向け を中心とした輸出需要が好調であることに加え、国内需要も堅調であることなど が頭数増の大きな要因になったとしている。 9月末時点の日本向け飼養頭数は、前年同期を25.1%上回る34万8千頭となり、 飼養頭数全体に占める割合は前年同期を1.8ポイント上回る63.0%となった。 また、韓国向け飼養頭数は、韓国経済の回復に伴う牛肉消費の拡大を反映して、 前年同期比を60.3%上回る1万4百頭と、ほぼ4年ぶりに1万頭台に回復した。 飼養頭数の約3分の1が仕向けられる豪州国内向けは、前回調査時よりも9.1% 減少したものの、前年同期を18.8%上回り比較的安定した推移を見せている。豪 州国内では、MLAにより食味の斉一性に力点をおいた消費者向け格付制度が推進 されていることなどを背景に、昨年あたりから小売店舗でも穀物肥育をベースと した銘柄牛肉が見受けられるようになるなど、国内市場での穀物肥育牛肉に対す る需要のすそ野は着実に広がりつつある。
ALFAによると、次回12月末の飼養頭数に関しては、具体的な数字の予測は行 っていないが、現在の肥育素牛価格の値上がり基調が頭数増加の抑制要因となる ものの、主要穀物生産地での予想外の降雨による規格外穀物が飼料として流通す ることから、飼料価格の値下がりが予想され、素牛の値上がり分はある程度相殺 されると見込んでいる。また一方で、豪ドルに対して円高傾向で推移している現 在の為替相場は、短期的には豪州フィードロット業界に追い風になるとしている。
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